先日、Googleが「従業員がリーダーとして成功を収める条件」を人材分析チームにデータ分析させた結果が発表されていました。簡単にまとめると
・リーダーは予測可能かつ一貫していなければならない
・上司とは一般的に、干渉、指図、口出し、出しゃばりをする傾向があるが、この障害を取り去ってしまえば、部下は安心して仕事を進めることができ、部下の心に優れた仕事をするための余裕が生まれる
・すぐに理性を失う上司や方針を変える上司の元では、部下は何をしていいのかわからず、抑圧された感覚に陥ってしまう。しかし、一貫したリーダーであれば、チームは途方もなく大きな自由を手にすることができる
というもの。
これを読んだ時に私の頭に浮かんだのは、日本シリーズで10年ぶりに日本一を勝ち取った日本ハムファイターズの栗山英樹監督と、青山学院大学駅伝チームの原晋監督の姿です。
◆選手の気持ちを大切にする栗山監督
栗山監督は「選手との対話」をひじょうに大切にしています。また、インタビューで繰り返し発するのは『選手を信じる』という言葉です。
栗山監督のi-colorは本質カラーがバイオレット、外面カラーがイエロー。どちらのカラーも、大切な仲間のために全身全霊を注げる、「人の気持ち」を大切にする【共感タイプ】です。そしてバイオレットの特徴は、徹底的に調査・分析・シミュレーションをしてから結論を導き出す、石橋を割れるほど叩く慎重派な点です。
「いつも采配を下した後に、これで本当に間違っていなかったのかと自問自答している」
「選手に話をする時は、相手がどう受け止めるか細かく意識して、一言一言慎重に言葉を選んでいる。言葉の取り違いでこちらの気持ちが正しく伝わらない事があってはならない」
というコメントからも、常に慎重に事を進める姿勢が感じ取れます。
◆選手を信頼し続ける我慢強さ
栗山監督の中田翔選手を信頼する姿勢も徹底していてぶれる事はありませんでした。今シーズンも、中田選手が不調でノーヒットが続いていても我慢強く使い続けていました。シーズン後半の不調期の事を中田選手本人は下記のように振り返っています。
いつどのタイミングで「2軍へ行かせてください」と言おうかずっと考えていた。毎日、嫌々メンバー発表を見て「今日も出るのか…」と。帰りの車の中で「事故ったら明日から試合に出なくていいかな」とまで考えた。どん底だったんじゃない。そこがオレの弱いところでもあるんだけど。
救ってくれたのは栗山監督だった。8月10日の西武戦。チームがサヨナラ勝ちしたのにすぐ帰った。そしたら翌日に「監督室へ来てくれ」と。さすがに怒られるんかなと思った。でも違った。 札幌ドームの監督室で、オレやチーム、いろんなことを話してくれた。途中「翔は今どう思っているんだ?」と聞かれた時、思っていたこと、溜まっていたことを全部話した。
「レギュラー外してください」「2軍へ行かせてください」といつ言おうか考えてました、と。
それでも、「もう1回頑張ろう。翔で勝負してダメだったら納得できる。一からやろう」と言ってくれた。
~中略~ 監督と話した時に、今までどれだけ情けないことを考えていたかを気付かされた。2軍行きを志願するのは格好良くも見えるけど、冷静に考えたら逃げているだけ。自分のことしか考えてなかった。そこからじゃない?「もう、やるしかねぇんだな」と思ったのは。監督とは用がある時しか話さないけど、純粋に監督が好きやね。あそこまでチーム、選手一人一人のことを考えている人はいない。1年目から監督を男にしたい、1番の監督にしたいとガチで思った。正直、監督と出会うまで、そんな気持ちを持ったことはなかった。
(引用:スポーツ報知 http://www.hochi.co.jp/baseball/npb/20160929-OHT1T50053.html)
◆選手の努力は見逃さない
日本シリーズで決勝満塁ホームランを打った西川選手について、栗山監督は
「彼はどんなに不調の時でも、皆が帰った後1人残って練習を続けていた。その姿を見ていたので、必ずどこかで結果を出してくれると信じていました」
と言います。日本シリーズで打率が1割台に落ち込んだ時も監督は「おまえの力はそんなものじゃない」と言って励ましながら上位打線で起用し続けたのです。
そして日本シリーズ2勝2敗で迎えた第5戦でのサヨナラ満塁ホームランです。西川選手は試合後に
「チャンスで打てなかった僕に代打を出さず、打席まで送り届けてくれた監督に感謝しています」
と話しています。
日ハムの選手と栗山監督の信頼関係は群を抜いて固いようです。
◆まとめ
今日、全日本大学駅伝大会で悲願の優勝を果たした青山学院大学駅伝チーム。このチームの原晋監督(i-colorイエロー)が常に発するのは「この子達ならやってくれると信じていました」という選手全員を常に信頼している言葉です。
ひと昔前は、群を抜いた経歴を誇ったカリスマ的監督や、ひたすら厳しい練習を課して精神力を強化しようとする監督が多かったスポーツ界。
それに対し、日ハムの栗山監督はドラフト外の入団テストからプロ入りした選手。実はテスト結果はダメだったものの「1年でダメならクビでいいのでチャンスをいただけませんか」と食い下がってプロ野球選手になった苦労人です。
青学の原監督は、大学まで陸上を続け、入社した企業で陸上部を創設したものの故障してやむなく選手を引退、営業マンに専念した生活から今の監督業へ転身した方です。
彼らのように、挫折と努力を重ね、人一倍苦労し、また人の気持ちに歩み寄れる【共感タイプ】の人が、個々の選手の隠れた素質を見出し、スランプ時にはメンタル面もサポートし、本番で大きく開花させる指導者なのだと感じます。
更にこのお2人に共通するのは、選手達に「楽しんでいるか?」と日々確認する姿です。どんなに追い込まれても、その競技自体を本気で愛し、それに関われている事に感謝し楽しめる事が大事な場面での精神的支えになるのでしょう。 今後の両チームの更なる活躍から目が離せません!
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