最優秀女子高生スカイ・ボークさんの母が語る「強い心の育て方」-前半-

◆日本人ハーフのスカイ・ボークさんが最優秀女子高生に!

全米で毎年行われる「最優秀女子高生コンクール」。60周年を迎えた今年優勝したのはスカイ・ボークさん。お父さんがアメリカ人、お母さんが日本人のハーフさんです。

「最優秀女子高生コンクール」と言っても、ミスコン的な外見重視のコンクールではありません。学力やコミュニケーション力、共感力、リーダーシップ、体力などが重要な審査対象となり、優勝者には大学奨学金が授与されるコンクールなのです。

今回スカイさんの母、ボーク重子さんが短期間来日され1回きりのトークイベントがあると聞き、速攻で申し込んで参加してきました。私が日々心がけているのは「やりたいと思った時に即行動すること」。猛暑日の仕事帰りでしたが思い切って参加してきました。そして「やっぱり参加してよかった!!」という内容でした。

 

ボーク重子さん(以下、重子さん)のお話の中で、特に子どもを持つ親御さんや子ども達に指導されている方にお伝えしたい内容を2回に分けてご報告します。前半の今回は、母である重子さんの幼少期~スカイさんの母になるまでの様々な経験やエピソードから得られた考え方について。

重子さんはステキな笑顔で会場に入られた事もあり、第一印象はひじょうに明るくアクティブで頭の切れるお母さんというイメージでした。

そんな重子さんが話された幼少期の重子さんは、現在の印象とは大きく違うものだったのです。

◆他人と比較されて育った幼少期

福島県で起業家の母と専業主夫的役割の父という家庭で育った重子さんですが、幼少期はいつも2~3才差の従姉と比べられていたと言います。

勉強をやっても「従姉の〇〇ちゃんの方が優秀ね」と言われ、日本舞踊をやっても「〇〇ちゃんは上手ね、重子ちゃんはもうそこで座って見てて」と言われる始末。

そして弟が生まれると、とても愛嬌のある弟だったため、今度は弟と比較されるようになったのです。

更に中学校では、音楽会でピアノ担当になり本番で立派に演奏するはずが、極度の緊張のため途中から弾けなくなるという経験をし、これがトラウマになってしまったのです。この頃の重子さんはご本人曰く

『ダメな葉っぱに何枚も何枚もくるまれたキャベツだった』

と表現されていました。

◆自信のない自分からの脱却

その後海外で現代美術を学んでいる時に今の旦那様と出会いワシントンでの生活をスタート。

アメリカでは日本文化との違いから、自己アピールできない自分と、自分に自信のあるアメリカの人達を比べて更に自信を失ったままスカイさんを授かり一児の母に。

その頃公園でふと出会った人と話をする中で、自分自身の人生を改めて振り返る機会を得ます。そこで重子さんは、生まれて初めて自分が今まで努力してきた事や自分ができる事を溢れんばかりに主張し、「いつかアートギャラリーを開きたいの!」と自分が心に秘めていた夢までとっさに答えたのです。

◆半分の水が入ったボトル

この時の気持ちの変化を、重子さんは『半分の水が入ったボトル』で表現されていました。

今までは物事を全て「もうこれしか残っていない」と捉えていたのが、初めて「まだこんなに残っている!」と捉えられたのです。

「娘のスカイには比較の文化で育ってほしくない!必ず相手の方が良く見えてしまうから」

「そのためには、まず母である私が変わろう!!」

と強く心に決めたのです。

そして改めて日本とアメリカの違いを考えた時、

「日本は実はすごい国なんじゃないか?今まで私は日本の水(=強み)を全く見ていなかったのではないか?」

と感じたのです。

◆日本の詰め込み教育も日本の強み

重子さんはアメリカで生活する中で、日本人だというだけで大きな信用が得られる事を体感していました。日本人の強みには

真面目さ・職業倫理感の高さ・サービス精神旺盛・思いやりがある

等多数ありますが、日本人自身がこの強みを最も過小評価していると言います。

また、日本の全科目詰め込み式の勉強法を批判する人もいますが、重子さんは

「この勉強法のおかげで日本人の知識レベルは平均的に高いという利点に繋がり、海外での日本人の評価がひじょうに高い」

と感じていました。そして、この点に日本人はもっと自信を持つべきだとも話されていました。

◆アメリカ人は回復力の強さがある

一方アメリカ人は、自分ありき・自分大好き・自分は何でもできると思っている・他人と比べない

等の利点を持っています。彼らと違い、自分という芯を持っていないと、壁にぶつかった後の回復力(=レジリエンス)が弱く、ネガティブな経験をいつまでも引きずりやすいのです。(転機を迎えるまでの重子さんは、まさにこの状態だったようです)

「ポジティブであれば多様性の中にあっても自分の個性を信じられますたとえ他人から批判を受けても凹むのではなく「そこから学び取ろう!」と捉えるため、自分の可能性を更に広げていけるのです!

と強く語られていました。

そして重子さんは、スカイさんに「アメリカと日本それぞれの素晴らしさを持ってほしい」と考えたのです。

 

前半はここまで。

後半(明日UP予定)では、これらの考えに基づいた重子さんの子育て法についてお伝えします。

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重子さんが幼少期に自信を持てなかったのは、大人達の対応に大きな原因があります。今回のお話から、大人の言動が子どもに与える影響力の大きさを痛感しました。子どもへの声かけは、感情的にならず本当に慎重に言葉を選んで伝えなければ・・と気持ちが引き締まる思いになりました。

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