「あなたって〇〇な子ね」の影響力

9月は親御さん対象のセミナーをいくつか開催させていただきましたが、親御さんのお悩みには共通するものも多くありました。

その中でも特に多かったのは「わが子のマイナス面ばかり目について口うるさく注意してしまう」という声です。そして親子ゲンカに発展した際に親が発してしまいがちなのが
「どうしてあなたはこんな〇〇な子に育ったんでしょうね!?」という失言でしょう。

◆親の言葉の影響力

「あなたって〇〇な子ね」という声かけは、良い意味の言葉であれば「親に認めてもらえた!」という喜びと共に、自己肯定感が高まり自信につながっていくでしょう。しかし、マイナスな発言の場合はどうでしょうか?
親:「早くしなさい。もう!いつも遅い子ね!」→ 子:「そうか、わたしは遅い子なんだ」
親:「お友達の〇〇ちゃんはいつも良くできていいわね~」→ 子:「わたしは〇〇ちゃんのように良くできない子なんだ」
といった具合です。特に幼少期の子どもは、親が言った言葉をダイレクトに信じてしまいがちです。

◆生徒が発した驚きの一言

数年前、英語教室の生徒の1人であるAちゃん (小2)が、悲しそうな表情で私にもらしたのは
わたしいつもママに怒られているの。だからなんにもできないダメな子なの・・・
という一言でした。私の英語教室では誰よりも真剣にレッスンを受けているおとなしい子だっただけに、私にとって衝撃の発言でした。そこで私は
「Aちゃんはいつもちゃんとレッスンを受けているでしょ?先生はできる子だって知っているよ」
「「ムリ」とか「できない」っていうと、できる事までできなくなっちゃうの。だからもう言わないでね」
「反対に「私ならできる!」って繰り返し自分に言ってごらん。自分の声は自分が一番近くで聞いているから、その声を聞いて脳がいっぱい動いてくれるのよ!」
と、少し難しい話かな?と思いながらも精一杯説明したのを今でも覚えています。

Aちゃんは本当に素直で賢い子でした。それ以降のレッスンでは、「できる、できる、できる」と小さな声でつぶやいてから英語のゲームに挑戦するという健気な姿を何度も見せてくれました。そして本当にめきめきと英語が上達していき、積極性も徐々に増していったのは、私にとっても嬉しい成果でした。

◆親の失言で気をつけたいポイント

親が軽く発した言葉により、わが子が自分に限界を感じたり自信を無くしてしまうのは本当に残念ですし、親としても望んでいない結果でしょう。とはいえ、親も頭に血が上れば冷静さを欠いてしまうもの。私もカチンを来た時はつい失言を発してしまう事が未だにあります。ですから自分への戒めの気持ちも込めて
「親の失言で気をつけたいポイント」を2つ考えてみました。

① その子自身を否定しないように「〇〇な子ね」の「子」は決してつけないこと
② つい失言を発してしまった後は、プラスの内容を付け加えて終わらせること

まずは1つめ。ついわが子のマイナスな面をズバッと突いた失言が口から出始めたら、言いながらも発言の最後に「子」だけはつけないように瞬時に修正してみてください。

例えば、つねにマイペースで時間のない時ものんびりしている子には
「時間がないのよ!もう・・・(いつも遅い子ね!じゃなくて→)いつも遅いなぁ
「どうしていつもそんなに・・(のろい子なの?じゃなくて→)ゆっくりなの?
という語尾の修正です。
「子」という一文字を取り除くだけで、その子自身を否定してしまうNG発言が、1つの特徴を指摘する発言に和らぐのです。
そして言い放ったまま終わらせず
「どうしたら直せるかな。一緒に考えてみようよ」
と具体策まで考えてあげるのも一案でしょう。

そして、2つめ。NG発言を言い放った後で「しまった!」と我に返った時は、すぐによかった点を探して付け加えてください。

例えば、
「今日も本番で失敗しちゃったね(=失敗した事実だけを伝えるNG発言)。
でも、今日まで毎日サボらずに練習を続けていたよね。それは本当にえらかったと思う!
これからも続けていけば、必ず結果はついてくるから大丈夫!次回が楽しみだなー!
といった感じです。

今回悪かった点はふり返りつつも、ここまで努力してきた事実や以前より明らかに改善された点など、良くなった点をみつけて褒めて話を終わらせるように意識してほしいのです。そうすれば本人も「次回はいけそうな気がする!」とポジティブな気持ちに切り替えて、次の本番に向かっていきやすくなるでしょう。

◆本番で実力を出せかどうかは気持ち次第!

ポジティブ思考で急成長しているアスリートがいます。体操の白井健三選手です。

彼は
「本番で失敗する価値は大きい」
「大舞台での失敗は自分を変えてくれる。次に繋がると考えれば失敗も大事なこと」
と言っています。そして、今回の世界選手権で、先輩であり体操王者の内村航平選手がケガで棄権というアクシデントが発生したにもかかわらず、全く動揺した様子を見せず
「自分らしい演技をするだけ」
と言って実力を出し切り、見事メダルという副産物まで獲得していました。

やはり、本番で実力を発揮できる人は自分を信じる気持ちを強く持っています。この揺るがない気持ちを持つには、日々自己肯定感を高めていくしかないのです。
大きく成長したわが子を見るためにも、影響力の大きい私達親の声かけは十分注意を払いながら見直していきたいですね。
自信を持たせるポジティブな声かけができるように、日々意識していきましょう!

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