11連覇を逃した内村航平選手が悔しがらない理由

4月29日、体操全日本選手権の個人総合決勝が行われ、男子は谷川翔選手が初優勝を果たしました。6種目中5種目で14点台を出した安定の演技で、予選2位からの逆転優勝でした。
予選首位だった白井健三選手は2位、11連覇を目指した王者 内村航平選手は予選のあん馬落下が響き3位に留まりました。
優勝した谷川翔選手の年齢は、奇しくも10年前の内村選手と同じく史上最年少19歳での優勝となりました。
◆冷静さと貪欲さ
内村選手は昨年世界選手権の予選で着地ミスから左足首靭帯を負傷し、調整の遅れから万全の準備ができていなかった事も否めません。
今回の彼のコメントに注目してみたところ、思いのほかあっさりしたものでした。
「そこまで悔しくないですね。やる事やってないのに悔しがる必要もないかなと。
ノーミスで結果を残してきた身ではあるので、そこにはプライドがあるんじゃないかなと思います」

と感情を客観視しつつ、まだ自身の演技が納得できるものに仕上がっていない事を冷静に捉えているようでした。
◆ライバルがいた方がスイッチが入るタイプ
i-color(統計心理分析で見るタイプ分類)の中でも、独立タイプの選手は個人競技で多く活躍しています。
特に男子体操(リオ五輪日本代表選手)に至っては、5名中4名が独立タイプでした。内村選手ももちろんその1人です。
独立タイプは、漠然とした大きな夢に向かって努力するより、目の前のハードル(課題)を1つずつ乗り越えていく方が、達成感を実感しやすく成長しやすい傾向があります
世界王者を極めた内村選手が2020年東京五輪で再度頂点に立つには、このままプレッシャーを感じながらトップを維持するより、一呼吸おいて『まず国内のライバルに勝つ』という目の前の目標に向かって走り出した方が、今以上にモチベーション高く進化できる、と本人も気づいているのではないでしょうか。

昨年ケガで世界選手権を途中棄権した直後

「ケガをするのはまだ下手だから。しっかり治して這い上がってやろうかなと思っている」

というコメントや、今回優勝した谷川翔選手について聞かれ

「おめでとうという感情しかないですね。すごく晴れやかですよ。ようやく解放されました」
という率直なコメントからも、連覇が途絶えた悔しさ以上に、改めて高い目標を目指す位置に立ち、挑戦者としてまた頑張っていこうと目を輝かせている彼の姿を感じました。
◆若手選手の成長にも期待
今回は谷川翔選手が優勝しましたが、谷川選手の兄 谷川航選手をはじめ、他にも種目ごとに高難度の技に磨きをかけている若手選手が数多く存在します。今までは内村航平選手と白井健三選手にトップを固められていた男子体操界で、今回新たな選手が逆転優勝したことで、多くの若手選手には新たな道筋が見えたことでしょう!
2020年東京五輪に向けて、新旧メンバーが良い刺激を与え合い、更に自身の得意な演技を極めていくことを期待しています!!

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