子ども同士のトラブルに大人はどこまで関わるべきか

最近同じような問題が近くで立て続けに起こり相談を受けましたので、それについて考えた事をまとめてみました。

◆小中学生のトラブルにありがちな対応

小中学生は、まだ自分や目の前の事で精一杯な時期です。そんな時、学校で友達に頭に来ることを言われると、感情的になって後先を考えない言動を取ってしまい、大きなトラブルに発展しがちです。

・男の子同士で多いトラブルは、慣れない取っ組み合いをして思わぬケガに繋がるケース
・女の子同士で多いトラブルは、ストレートな言葉のぶつけ合いで心が大きく傷つくケース

そして、トラブル発生後に取られがちなのは

男の子同士の場合は、大きくケガをした方が被害者、ケガを負わせた方が加害者に、
女の子同士の場合は、「心が傷ついた」と泣いて親に訴えた方が被害者、我慢した方が加害者にされ、
被害者の親が学校に連絡し、先生が間に入って加害者側の子どもや親を呼んで謝罪を求める という対応です。

確かに、男の子同士のケンカで大ケガを負わせてしまえばケガをさせた生徒は加害者ではあるのですが、トラブルの根本的原因がこの加害者の生徒だとは限りません。(個人的には逆の場合が多いように感じます)
これは女の子の口論トラブルでも同じこと。心が傷ついた事を泣いて強く訴えた方が擁護されがちですが、口論の根本的原因が実は今泣いて訴えている女の子側にあるケースもあるのです。

現代ではモンスターペアレンツという言葉があるくらい親の立場が強くなってしまったため、親に強く主張されると、学校(先生)側はその保護者の感情を収める事を優先した対応をとりがちです。しかし、これでは訴えた者勝ちで、正当な対応を取ってもらえないケースも出てくるでしょう。

更に問題なのは、強い親に守られ、被害者扱いされた子ども達です。彼らは「困ったら親に頼れば何とか守ってもらえる」と学習し、自分で考えて解決する力や思い通りにいかない時に耐える力が育たないまま大人になってしまうのです。こうして就職した後、上司に言われた言葉に過敏に反応し、自宅で親に守られる中、会社を長期間休んだり退職する道を選んでしまう若者が増えているように感じます。
親の対応は子どもに後々まで大きく影響することを、全ての親が心しておく必要があるでしょう。

 

◆学校で本当に学ぶべきこと

公立中学の千代田区立麹町中学校では、工藤勇一校長のもと様々な改革を起こして注目されています。
麹町中学校の理念は、子ども達に『世の中まんざらでもない。大人って結構素敵だ!』と実感させること。そして、子ども達が『自律と多様性』を学ぶ場を繰り返し与えています。先日、脳科学を教育に取り入れるテーマで行われた当校主催の公開講座に参加しましたが、今後の教育に必要不可欠な興味深い内容でした。(内容の一部は下記ブログにまとめていますのでご参照ください。http://makokouno.main.jp/wp/3182/ )

この中学校では、子ども達が多様性について学びを深める中で

★意見は皆違っていい
★違う意見が集まる集団の中では、自分の感情をコントロールして目的に照らして合意形成していくのが大切
★他人を差別する心は完全に消し去れなくても、差別しない行動は意識すればできるようになる

等を学びとっているそうです。そして生徒達は、大人の力を借りずに自分達だけで話し合って最善策を見出せる力を伸ばしています。今では、体育祭や文化祭はほぼ生徒のみで、実施内容の決定から運営まで全て行っているというのですから素晴らしいものです。
この中学校であれば、前述のような生徒間のトラブルが起きても、先生や親の出番は少なく、生徒達で話し合って解決するケースも多々あるのでしょう。

子ども達が学校を通して学んだ中でも特に傾聴力と調整力は、社会人になってから一層生かされる大きな財産と言えるでしょう。自分の意見を主張するだけでなく、他人の意見にも耳を傾けて理解し、総合的に見ながら最善案を見つけ出していく力は、企画会議でも取引先との商談でも必要不可欠な能力です。彼らが社会に出てからも立派に活躍できることは言うまでもないでしょう。
各教科の授業と試験を繰り返す学校教育が、麹町中学校のように社会で通用する人間力を育てる教育法に変わるべき時が来ています。一日も早く多くの学校教育現場にこの流れが拡がっていくことを願ってやみません。

 

◆まずは親自身の対応を見直してみる

もしわが子が友達と衝突して問題になった場合、皆さんは親として冷静な判断力を持って対応できる自信がありますか? 一番に守るべきわが子のことであっても、わが子の話だけを聴いて擁護するのではなく、相手側の話も聴いて相手の立場に立って考えることができるでしょうか?まずは私達親が正しい判断力を身に着けておくことが先決でしょう。
そして、家庭でも親と子がニュース等をきっかけに様々なテーマについて意見を交わす中で『受容力・傾聴力・コミュニケーション力』を身に着けることこそが、子育て教育で外せない重要事項のひとつだと感じます。勉強や習い事はその次で充分だと思うのです。
わが子を自ら考えて行動できる人間に育てるためにも、親は手や口を出したい気持ちを抑え、少し離れて見守るスタンスを持ちたいものです。

『チームワークの向上』『本番に強い選手育成』にご興味のある方へ

指導者や親御さんに向けて
★子どもの根本的な志向タイプについて
★子どもの特性を伸ばす関わり方
★モチベーション・自己肯定感の上げ方をテーマにしたセミナー

スポーツチームの「チームアドバイザー」として
★個々の選手に適したアプローチ法の具体的アドバイス
★選手向け研修の企画・実施
等を行っています。

ご興味のある方は、下記よりお気軽にご相談くださいませ。

ご質問・お問い合わせ