フィギュア女子 紀平選手vsザギトワ選手 大会で見えたメンタルの差

フィギュアスケートグランプリシリーズ2018。男子は羽生結弦選手のケガ辞退により、王者不在の戦いとなりました。それとは相反するように、女子は日本人3選手&ロシア人3選手という2ヶ国対決となり、優勝争いは紀平梨花選手とA.ザギトワ選手の16才対決となりました。

◆生まれ月による明暗

紀平選手とザギトワ選手は同い年にもかかわらず、平昌五輪出場権を得たのはザギトワ選手のみでした。これは『五輪前年の6月30日までに15才に達していない選手の五輪出場は禁じる』という国際スケート連盟のルールがあるため。つまり同じ学年でも、4月〜6月生まれの選手は出場権があり、7月以降生まれの選手は出場権を得られないケースがあるのです。紀平選手は7月21日生まれ、ザギトワ選手は5月18日生まれ。そしてザキトワ選手は平昌五輪に出場し、見事金メダルを獲得しました。
過去にもこのルールにより、16才目前の浅田真央選手とキム・ヨナ選手が五輪出場権を得られない事態が起こりました。若手の実力派選手が台頭してきた今、このルールは早々に見直してほしいものです。

◆追う立場と追われる立場

平昌五輪で圧倒的な技術力を見せて金メダルを獲得したザギトワ選手ですが、これからは金メダリストとして常にトップを期待され、全ての選手から追われる立場です。
それに対して紀平選手は、五輪未経験でグランプリシリーズも今回が初出場です。得意のトリプルアクセルは日々の練習で磨きがかかり、試合での成功率はかつての浅田真央選手以上の安定感を見せています。失うものがないチャレンジャーの紀平選手の方が精神的には有利だったようです。

◆メンタルタイプの違い

そして、2人のメンタルタイプを比較してみると、大きな違いが見えてきました。
紀平選手のi-color(統計データ分析によるメンタルタイプ)は、直感タイプのターコイズ共感タイプのオリーブ。どちらも「なんとかなるさ!」と考えるポジティブ思考のカラーです。そして直感タイプは、試合規模が大きくなり注目度が増すほどワクワク感が高まり、堂々とプレーできる本番強さを持っています。
フリーの冒頭でトリプルアクセルを失敗したものの、次はもう一度挑戦してトリプルアクセルをコンビネーションで跳ぼう!」と瞬間的に決めたと言います。この勇気ある判断を瞬時に取れたのは、彼女のメンタルタイプが大きく関わっていると感じます。
追われるザギトワ選手のi-colorは、共感タイプのバイオレット直感タイプのブルー。どちらも慎重派のリスク思考。「もしこうなってしまったら、、」と考え、その不安要素をなくすために練習を積んでいく傾向があります。精神的不安をかき消そうと自分を追い込み過ぎて、疲労骨折したりケガをしてしまうケースもあるので注意が必要なタイプです。ザギトワ選手本人は試合前、
「私は他の選手の演技は見ない。自分の演技に集中している」
と発言していたものの、ショートで紀平選手の直後に演技した時の表情はいつになく硬く、ジャンプも精彩を欠いていました。そしてショート後の会見で紀平選手について聞かれると
「その質問には答えなくてもいいですか」

とライバルをかなり意識している様子でノーコメントを通していました。そして2位で迎えたフリーでは、練習中に一度もミスしなかった連続ジャンプでミスが出てしまい、逆転優勝はできませんでした。

ザキトワ選手のようなメンタルタイプの選手は、追い込まれた場面で人一倍感じる緊張とストレスを軽減するために、メンタル対策を事前にしっかり取り、本番前に必ず実施する必要があります。金メダリストとして今後も追われる立場が続く彼女には必須の課題でしょう。

◆『技術×メンタル=実力 』の方程式

どんなスポーツでも、選手達は技術力アップを第一目標に掲げて日々トレーニングを積んでいます。しかし、選手のメンタルタイプによっては、技術力アップと同等にメンタル強化対策を取るべき選手も多数いるのです。全ての選手が本番で実力を発揮できるように、技術力とメンタル力の双方をバランス良く強化していく指導が当たり前になってほしいと願いながら、私も学生チームのメンタルサポートをしています。
金メダリストになる前と後のザギトワ選手の変化を見ながら、メンタル対策の必要性をあらためて感じたグランプリシリーズでした。

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