わが子がLGBTと気づいた時の対応法 前川清父娘の場合

近年日本でも理解され始めたLGBT(=「Lesbian」(女性同性愛者)、「Gay」(男性同性愛者)、「Bisexual」(両性愛者)、「Transgender」(出生時に診断された性と自認する性の不一致)の頭文字をとり、セクシュアル・マイノリティー(性的少数者)の一部の人々を指した総称)。日本では、2004年7月に「性同一障害者の性別の取り扱いの特例に関する法律」が施行され、性同一障害でも一定の条件が認定されれば性別の扱い変更の審査を受けられるようになったり、2015年、東京都渋谷区では日本初の同性パートナーシップ条例が認可されました。

LGBT総合研究所が全国の20歳~59歳の男女10万人を対象に行った調査では、約8%の人がLGBTと回答しています。30名のクラスであれば、2~3人いると考えるとかなり多い印象です。

私はここ数年大学生と関わる仕事もしていますが、LGBTである事を隠さずオープンにしている学生を何人も見てきました。一例として、身体は男性、心は女性の大学生と話した時、男女どちらの気持ちにも共感できる部分を持っているためか、男女どちらと話してもコミュニケーション能力がひじょうに高い点に驚かされました。偏見さえなくせば彼らは、コミュニケーションが苦手な同世代の学生と比べても、何倍も社会で活躍できる素質を持っているなぁと強く実感しました。

世の中的には徐々に受入れられつつあるLGBTですが、本人がそれであると自覚しても、それを親に開示するにはかなの勇気がいるようです。

 

◆父が娘にかけた言葉

先日、歌手前川清さんの次女でロックバンドDire Wolfのボーカル、Yuこと前川侑那さんが、某TV番組にVTR出演し、自身がLGBTである事をカミングアウトする前後の父とのやり取りを公表していました。

「男性を好きになったことは1回もないです。中学くらいまでは隠していました」

「(父にも)ずっと喋りたいとは思っていたのですが、リビングで朝ご飯を食べているときに、父の方からサラーッと

「お前今後どうするんだ?俺はそのなんかこう、女好きとかそういうのを表に出していった方がいいと思うけどな。そっちの方が面白くないか?」

って。そういうことを話すことで父の仕事がなくなっちゃうんじゃないかとか、最悪の事を考えてしまって、言う事をためらっていたのですが

「そんなので俺は潰れない。そんな小さなことで俺が潰れるわけないだろ」

みたいな感じで言ってその場が終わった。今までで一番嬉しかった言葉だったかなと思います」

と、当時の会話を振り返っていました。

(Abema Newsより)

 

統計心理分析で見てみると、侑那さんは生粋の直感タイプ。直感タイプは上下関係に忠実な上、空気感を察するため、直感タイプの子どもは、親の様子を観察しながら親の期待や意向を汲み取り、無意識のうちに親に気を遣った態度をとりがちという特徴があります。侑那さんの場合、歌手として成功した父を尊敬する思いから「もし自分がカミングアウトしたら父の仕事に悪影響を及ぼすのでは?」と考えてしまったようです。

それに対して、前川清さんは生粋の独立タイプ。独立タイプは表裏ない言動をとるのが特徴ですから、侑那さんのセンシティブな話題でも、躊躇なく自分の思いをストレートに伝えています。これもまさに独立タイプらしい行動です。

その後、侑那さんが彼女を家に連れてきた際、彼女と知らずに「かわいい友達だねー」と言ってやたらと仲良く話したがる父に「彼女だから」と伝えると

「侑那の恋人か!じゃあ俺は退散!」

と言って部屋に行ってしまったそう。このような自然な対応は侑那さんも嬉しかったことでしょう。

 

◆親を喜ばせたい子ども達

カウンセラーとしてご相談に乗る中、様々な親子を見てきましたが、総じて共通しているのは、子ども達は常に親を喜ばせたいと思っていることです。小さいからと侮ることなかれ、3歳や4歳の子どもでも
「そんなことしたらママがいやな顔をする」「ママが言ったからこうするの」
など、常に自分の行動で親がどんな表情をするか注目し、親を喜ばせようと頑張っている子が大半なのです。
しかし、親が子ども達のこの行動に甘んじていると、子ども達は時として、自分が本当にやりたい事まで諦めるという間違った判断を取ってしまう事さえあるのです。

 

◆親は常に味方であることを認識させておく

今回の前川さん父娘の場合、父からの声かけが娘の悩みを打開するきっかけになったという面では好エピソードと言えます。しかし一方で、父が声かけするまでの長期間、侑那さんは親の立場や気持ちを考え、打ち明けられずに1人で悩み続けていたのです。彼女のように、子ども達が必要以上に親に気を遣ったり、親に心配をかけまいと大事な問題を抱え込まないためには、普段から
「親は何があってもあなた達の味方だから、嫌な事でも何でも相談して」
と繰り返し伝えておくことが大切なのでしょう。

 

◆子どもの悩みを聴くのは片方の親で十分

とはいえ、子どもから見て、話が通じやすい親と通じにくい親がいるのも事実です。そんな時は、無理に両親2人に相談する必要はなく、気の合う片方に相談できればOKでしょう。統計心理タイプで言えば、近しい価値観を持った同じタイプの親の方が、子どもの真意を理解しやすいものです。子どもが2人以上いる場合は、どちらの親が相談に乗る役になるか、夫婦で決めておくのも一策ではないでしょうか。
お互いに気を遣い過ぎず、風通しのよい親子関係を築いていきたいものですね。

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