星稜奥川投手のメンタルタイプと関わった選手達

今年も高校球児達が甲子園で感動的な戦いを繰り広げています。大好きな競技を通して勝ち負けだけでない経験や気づきを得ながら成長していく姿を垣間見られるのが、学生スポーツの一番の魅力だと感じます。

今年の夏の大会では、『令和の怪物』と呼ばれている、星稜の奥川恭伸投手が破竹の勢いで防御率0を守ったまま決勝まで勝ち上がってきています。

 

◆2018年夏の悔しい経験

昨年の夏の大会。2回戦での星稜vs済美戦は、高校野球ファンの記憶に深く刻まれる試合となりました。
2年時から注目され活躍していた奥川投手でしたが、4回に足の痙攣を起こして予定より早く降板します。その後星稜は、投手を細かく繋ぎながら9回表に同点に追いつき、更に延長タイブレークに入った13回表、2点を獲得します。しかし、その直後の13回裏、逆転満塁ホームランを打たれ、サヨナラ負けを喫したのです。

試合後、「3年生のために力になれなかった」とずっと号泣していた奥川投手。3年主将から「この悔しさを力に変えて、来年いい報告を聞かせてくれ」という言葉を送られ、この1年間必死で練習を重ね、ピッチングを一層強化してきたのでしょう。
この悔しい経験をしていなければ、1年後の今、投球にも体力にも更に磨きのかかった奥川投手の雄姿は見られなかったのかもしれません。

 

◆奥川投手のメンタルタイプ

奥川投手のメンタルタイプを調べてみると、負けず嫌い度No.1の独立タイプのコーラルと、仲間を大切にしながら努力し実績を積み上げていく共感タイプのイエローの2つの面を持っていました。

ある試合後のインタビューで

「(適時打を打たれ先制点を取られた後、)悔しかったので絶対に抑えてやろう、倍にして返してやろうと思っていました。ピッチャーにはそういう気持ちが必要だと思うので。」

と答えていたところに、強気なコーラルらしさを感じます。

その一方で、負けた時だけでなく勝った時にも泣いてしまうのは、共感タイプらしい感受性の高さを感じます。今大会の準々決勝で、延長13回まで戦った末、智辯和歌山に勝利した直後に大粒の涙を流していました。これについて聞かれると

「智辯和歌山の主将黒川選手に「日本一を取ってくれ」と言葉をかけられてこみ上げるものがありました」

と話していました。

◆智辯和歌山黒川選手との友情

星稜の奥川選手と智辯和歌山の黒川選手は、日本代表候補としてお互い知った間柄でもあるのです。
そして、この準々決勝の試合中、投球中に足が攣った奥川選手の様子を見て、敵チームでありながら熱中症予防の錠剤を届けてくれたのも黒川選手だったのです。黒川選手のメンタルタイプは、素質・外面共に仲間を人一倍大切にする共感タイプ。たとえ敵チームの選手であっても、相手の辛そうな姿を見逃す事のできない、まさに選手思いの頼れる主将なのでしょう。

(ちなみに、彼の家は野球一家で、お父さんは上宮(大阪)の選手としてセンバツで優勝経験あり。兄(長男)は日南学園(宮崎)の選手として2016年に甲子園出場。そして今年は次男である黒川選手が智辯和歌山の主将として甲子園に出場。更には、弟(三男)が星稜に入学したため、ベンチ外ながらもこの日の試合は『次男と三男の兄弟対決』の試合でもあったのです。こんなに甲子園と縁の深い野球一家も珍しいでしょう)

 

◆投げ合った池田投手が感じた満足感

また、智辯和歌山戦の終了直後、奥川投手と投げ合い大健闘した、智辯和歌山の池田陽佑投手は、

「奥川投手はめちゃくちゃ速かったし、投げ合いは楽しかった」

「タイブレークでこんな良い試合ができて幸せです」

と清々しいコメントを残していました。

池田投手のメンタルタイプは、大きな大会でこそ本領を発揮する直感タイプのターコイズと、負けず嫌いの独立タイプ コーラルの2つの面を持っています。負けた直後で人一倍悔しい気持ちがあるものの、お互い渾身のピッチングをして、レベルの高い戦いをできたことに楽しさや幸福感を感じられるとは、直感タイプらしいなぁと感じました。
甲子園という大舞台で全力を出し切り満足感を得られた彼は、この経験を今後の人生にプラスに生かしていってくれる事でしょう!

 

◆星稜バッテリーの相性

奥川投手とバッテリーを組み、今年主将を任された山瀬慎之助捕手のメンタルタイプを見てみると、奥川投手とひじょうに似たタイプでした。本質は独立タイプのオレンジ。外面は共感タイプのイエロー(=奥川投手と同じカラー)です。
奥川投手より精神的に穏やかさを持ったオレンジタイプの山瀬選手。試合中に奥川投手が熱くなった表情を見せるとすかさず笑顔で声をかけ、冷静さを取り戻させようとしている姿からも、精神的に大人な印象を受けます。

そして、この2人はなんと小学生時代からバッテリーを組んでいると言うのも驚きです。メンタル的に似ている2人が偶然同じ少年野球チームで出会い、長年共にバッテリーを組んできた事にも、切っても切れない特別な縁を感じざるを得ません。

◆決勝戦に期待大!

決勝戦の相手は、強力打線で大量得点を取り続けてきた履正社(大阪)です。防御率0.00の奥川投手をどう攻略してくるのか?また、奥川―山瀬バッテリーはどこまで0点を死守できるのか?今から楽しみでなりません!!

 

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