世界一の練習の上に勝利を確信していたラグビー日本代表チーム

ラグビーW杯 日本対アイルランド戦で、日本代表が歴史的勝利をあげました!日本中が一気にラグビーW杯に注目し歓喜に沸いていますが、当の選手達は喜びながらもどこか落ち着いています。
統計心理分析ではどんな傾向があるのか調べてみたところ、選手達の傾向性が見えてきました。そこで、日本代表選手とW杯に向けた準備について考察してみます。

 

◆コーチのメンタルタイプ

世界一と言われる日本チームの練習量ですが、これは元ヘッドコーチのエディ・ジョーンズ時代から引き継がれているようです。エディ元ヘッドコーチ、ジェイミー・ジョセフ現ヘッドコーチ、長谷川慎スクラムコーチ、この3名の統計心理タイプは共に『リスク優先タイプ』です。何かに挑戦する際に、成功に生かせそうな強みポイントより、「ここが不足している」「ここを強化しないと負けてしまう」等、チームの弱みや to do ポイントが先に見えてくるタイプです。

アイルランド戦に向けても、「1対1では強靭なアイルランド選手を止められない」という弱点の対策として、ダブルタックル(足元と上半身に向けた2人がかりでのタックル)を考案し、徹底的に練習させています。また、長谷川慎スクラムコーチは

「あと3㎝、ひざを下げて」

「あと1㎝、内側の足を中に入れて」

というように、『cm単位の緻密な指導』を行い、これにより、どんな強豪チームと戦っても崩れない強固で完璧なスクラムを構築しています。

「何をすれば、現在ある弱点を克服し、相手に劣らないチームを構築できるか」を常に考えて指導しているのでしょう。

 

◆選手のメンタルタイプ傾向

次に、日本代表選手の統計心理タイプを見てみると、コーチ陣と同じ『リスク優先タイプ』の選手が『希望優先タイプ』の選手より約2倍多くいました。
もちろん、1つのチームには両方のタイプが存在した方が、お互いの弱みを補い合えるのでよいと考えられています。

しかし、今回のように『リスク優先タイプ』のコーチ陣が考案した、緻密さ・過酷さ・地道な継続力の全てを要する練習を指示通りに実行に移せたのは、『リスク優先タイプ』の選手が多かったからだと思うのです。もし、集中力が短めで、何事も楽しみながら進めたい『希望優先タイプ』の選手が大半だったら、これらの指導方針について行けなかったり、集中力もやる気も失せてストレスを溜めながら練習する選手が多く出てしまったと思われます。

 

◆過酷な練習はメンタルをも支える

これらの緻密かつ過酷な練習には、実力を向上させるだけでなく、もう1つの大きなメリットがあります。それは『精神的な支え』です。マイナス面が目につきやすいリスク優先タイプは、精神的に不安を抱えがちなのも特徴のひとつです。今回実践された『緻密かつ膨大な練習』は、選手達の不安感を軽減する事にも大きく繋がったと思われます。こうして

「『世界一強固なスクラム』と『世界一の練習量を遂行した実力』があれば絶対に負けない」

と選手全員が心の底から感じられる状況まで仕上がって、今回のW杯を迎えたのでしょう。

 

◆練習から生まれた自信

アイルランド戦に向けたインタビューを聞くと、選手達の口からは「勝ちにいく」という自信に満ちた言葉が発せられていました。その言葉が口先だけでない事は、表情から十分に見て取れました。

アイルランド戦直前にジェイミー・ジョセフヘッドコーチが全選手に伝えた言葉が、このチームの想いを物語っています。

「誰も勝つとは思っていない

誰も接戦になるとは思っていない

誰も僕らがどれだけ(多くを)犠牲にしたか分からない

信じているのは僕たちだけだ」

 

◆スローガン と さざれ石

今回のチームスローガンは『ワンチーム』。心も身体もスクラムも、チーム全員でひとつになり切ること

主将のリーチ・マイケル選手は、チームメンバー全員と共にさざれ石を見学に行き、日本国歌の意味を理解し、日本を愛する感情を全員が持てるようにサポートしたと言います。そして、南アフリカ出身のピーター・ラブスカフニ選手は

「この数年間やってきた事が『さざれ石』そのもの」

とコメントしていました。

まさに、『さざれ石のような一枚岩のチーム』がW杯に向けて完成したのです。

 

◆データでもアイルランドを上回った完全勝利

そして迎えたW杯のアイルランド戦。練習を重ねてきたダブルタックルが見事にはまり、アイルランドの攻撃を封じ込めたのです。試合後のデータ比較を見てみると、
・タックル成功率
・ラインアウト成功率
・ボールを持って前進した距離
・ボールを持っての走行距離
・ディフェンスラインの突破回数
など多くの指標で、トップクラスのアイルランドを上回ったのです。そして、緻密に作り上げてきたスクラムの成功率(ボール確保率)は100%

これにはアイルランドの選手達も日本の実力を認めざるを得なかったのでしょう。ノーサイド後にアイルランドの選手が2列に並び、日本選手が退場する道を作って拍手で送ってくれたのです。ラガーマンのすばらしい精神がこんなシーンにも見受けられました。

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「ラグビーは好きになってもらうまでの壁が高いけれど、一度その魅力を感じてしまえば、あとはどんどん好きになっていく」とラグビー選手が話していたのを思い出しました。
今回のW杯を機に、ラグビーの魅力に開眼する日本人は多いのではないでしょうか。

長年の努力を重ねて強固な一枚岩となったラグビー日本チームを皆で応援していきましょう!

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