コロナ自粛生活も2ヶ月を超えました。あらゆる分野で延期・中止が続いていますが、スポーツ界でも東京五輪に続き、とうとう全国高校野球選手権(夏の甲子園)も中止が決定してしまいました。五輪代表選手達がもう1年モチベーションと実力をキープし続けるのは予想を超える努力と忍耐力が強いられる事でしょう。しかしそれ以上に、甲子園を目指していた高校3年球児の気持ちを考えると辛さで心が痛くなります。
そんな中、明るい未来を見つめて必死に頑張っている若手アスリートを発見しました。冬季平昌五輪フリースタイルスキーモーグルで日本人男子初の銅メダルを獲得した原大智選手です。
◆五輪を楽しんだ結果の銅メダル
平昌五輪前の世界大会では表彰台に1度も登れなかった原選手。しかし平昌五輪代表に選ばれると
「4年に1度の五輪はモーグルを多くの人に知ってもらえる良い機会」
と捉えて参戦。予選を通過した後、決勝戦では1回目3位→2回目1位と順位を伸ばしていき
「早く3回目が滑りたいです!!」
とワクワクした気持ち全開でインタビューに答え、直後の最終演技を終えての銅メダル獲得でした。思い切りの良い滑りとジャンプは本当に気持ちの乗った演技で、歓声や注目を味方につけて本番を楽しめる選手が登場したな、という印象を強く受けたのを覚えています。
原大智選手の心理分析タイプは、直感タイプのレッドと独立タイプのグリーンの2つの面を持っています。一度スイッチが入れば猪突猛進の勢いでチャレンジする短期決戦向きのレッド面と、明確な目標が決まればそれに向けてマイペースに粘り強く努力を続けられるグリーン面という2つの要素を持った、まさに世界を目指す個人競技アスリート向きのメンタルタイプでした。
◆次に照準を合わせたのは競輪
原選手の脚力の強さは早くから目を付けられていました。競輪界から初めてお声がかかったのは数年前だと言います。そしてとうとう彼は競輪のプロ選手になる決心をして大学を中退し、日本競輪選手養成所に入所しました。入所時のインタビューでは
「一度きりの人生で競輪とモーグルを両方できるのは今しかない」
「ここで立ち止まったらもう僕には何もない人生だと思ったので踏み出しました」
「プロの競輪選手にならなければ僕の人生は切り開けないと思っている」
と答える姿に迷いは一切感じられませんでした。
入所した日本競輪選手養成所の所長滝沢正光さんは、バレーボールから競輪に転向し、人の何倍も自転車に乗り続け『練習の鬼』と化してトップ選手に上り詰め、45才まで現役を続けられた方です。滝沢氏の心理分析タイプは、独立タイプの中でも長期戦思考のオレンジに直感タイプのレッド面も持っているので、原選手との共通点も見られます。現役時代は自分の練習に精一杯で弟子を育成できなかった心残りから教官になり、養成所所長となった現在も選手を目指す若者達に直接指導をしています。原選手も滝沢所長直伝の厳しい指導を受ける中、根を上げずに食らいついていったそうです。スキーモーグルという比較的自由度の高い環境から、分単位で行動させられ終日過酷な練習漬けの競輪養成所での1年間は、原選手にとって予想を遥かに超える辛さだった事でしょう。しかし、入所時の高い志の火は消える事がなかったのです。
◆挑戦はまだ始まったばかり
入所間もない頃の記録会では最下位。今年の卒業認定考査記録会では規定タイムをクリアできずに不合格。その後行われた追試で何とか合格したという原選手。しかし未来を見つめる眼差しに変わりはありません。
「やるからには一番上を目指します。そこに妥協はありません」
と発言しています。
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五輪という大きな大会で結果を残した自信と本番強さ、そして競輪界のトップという明確な目標に向けて努力できる粘り強さを持った原選手なら、時間はかかってもきっと成し遂げてくれるでしょう!若干23歳の彼の競輪人生はまだ始まったばかりです。努力次第では40代まで現役でいられる競輪界で彼が大活躍する事を、長い目で見守り続けたいと思います。
そして、今回のコロナ渦で大会中止になり下を向いている各競技の選手達も、彼の姿からパワーをもらい、現状の悔しさを払拭して、未来に向けて新たな目標を定めて前進していってほしいと願っています!!