自立した子に育てるために親が普段からできること

2021年の成人式はコロナの影響でイベント中止またはオンライン開催になったところが多かったようですね。
子どもが20才になると親はホッと一安心するもの。しかし実際にはまだ大学生や専門学校生も多く、働いて自活するという本当の意味での自立には至っていない成人が大半でしょう。また、近年では「仲良し親子」の家庭も多くなり、就職後何才になってもずっと実家暮らしをしている(させている)家庭も少なくないようです。親が同じ家にいれば、子どもはつい親を頼って面倒な事は親に任せてしまうもの。その環境に甘え切った結果、就職活動の時期に自分に合った企業を親に選んでもらうという軟弱な大学生が存在するようになってしまったのかもしれません。

では、わが子が一社会人として立派に独り立ちできるように育てるには、親は何をすべきなのでしょうか? 私が思うには

『子どもの頃から自分で考えて言葉でアウトプットする習慣をつけておくこと』

これに尽きると思うのです。

 

◆すぐに「わからない」と答える子ども達

 

自宅で子ども達に英語レッスンをする際に心がけているのは、ただ英語のフレーズを教えるのではなく、子ども達が思っている事、考えている事を英語で話せるように指導することです。そのため、レッスン冒頭のウォームアップタイム(頭を英語に徐々に切り替える時間)では、最近話題の話や学校であったことを聴きます(昨年は鬼滅の刃の話で盛り上がることが多かったです)。そしてそれぞれの話題について質問をするのですが

「この中でどれが好き?」という選択式の質問には、皆少し考えてから答えられます。しかし

「あなたはどう思う?」と聞くと、さほど考えないうちに「わからない」と即答する子が多いことに驚かされます。

私が思うに、これはスマホやiPadの普及で、幼少期から何でも検索してすぐに正解を手に入れてしまう事が要因のひとつだと感じるのです。速い・効率的・便利というメリットがある反面、自分の脳を使わずに最初からスマホの検索機能に頼り切っているという大きなデメリットがあるようです。
レッスンで私が質問した時も、すぐに答えが思いつかないと、何も考えないうちに「わからない」と答えているように見えます。

 

◆自分の頭でじっくり考える習慣をつける

 

「あなたはどう思う?」という質問の答えは1つではないし、不正解もありません。「あなたがどう考えたか?」を言葉で表現すればそれが答えです。そこで、子ども達に「わからない」と即答された時は、

「あなたの考えはあなたのココ(頭を触る)が知っているから、もう1度考えてみて」

と言って時間をあげると、何かしら答えてくれる子も出てきます。それでもまだ首を傾げたままの子には

「じゃあ後でまた聞くから考えておいてね」

と伝えて他の生徒に質問していると、途中で急に思いついて自分の考えを発言してくれる子もいます。

 

◆親子の会話で考える時間を

 

小学生の頃から「自分の頭で考えて言葉で発するクセづけ」をするために

★ニュースをTVで一緒に見聞きするだけでなく、1つのニュースについて家族で意見交換する

★学校であった事を報告してきたら「それについてあなたはどう思ったか?」を必ず聞く

を毎日続けてみてください。

この時、「お母さんはどう思うの?」と自分の考えが定まらないうちに親の意見を確認してくることもあるでしょう。そこですぐに親の意見を伝えてしまうと「じゃあわたしもそれと同じ!」と親の考えをそのまま自分の考えとして受け入れてしまう子がいます。このような時は、すぐに親の考えを伝えず、

「お母さんも考えるから、〇〇ちゃんも一緒に考えてみて」

と言って、まず子どもの考えを先に言わせるように促してほしいのです。そしてお互いの意見が違っていた時は、

「そういう考え方もあるんだね!すごい!それもいいアイデアだね!!」

と褒めてあげてください。子どもは親から褒められるのが何より嬉しいものです。「また褒めてほしい!」という気持ちが芽生えれば、きっとまた自分なりの考えを伝えに来るようになるでしょう。そして、

「人は皆違う考えを持っているから、お母さんや他の人と同じじゃなくていいんだよ」

という事も伝え続けてほしいです。学校で多数決方式の話し合いに慣れてしまっているのか、何を聞いても他の子達が発言するのを待って、その中からどれかを選んで「〇〇ちゃんと同じです」とだけ言う子が多く見受けられます。これを繰り返していると、自分の考えを言葉で発する習慣がつかないため、大事な場面で意見を求められても自分の言葉で発言できない大人になってしまう気がしてなりません。

 

◆哲学的思考の重要性

我が家の次女の中高では『哲学授業』という時間があります。答えのないテーマについて数人のグループに分かれて意見交換するもの。今までの次女は、家では活発に家族と話をするものの、外ではおとなしめで自分から進んで発言しない子でした。しかし、この哲学授業が彼女の心にバチッとハマったようで、毎回この授業の日は帰宅後にテーマと自分の意見や友達の意見を熱く報告してくれます。私も皆の意見を聴くのは新鮮ですし、私の意見も彼女に伝えられ、良い時間を持てています。

答えのないテーマについて話し合う一番のメリットは『意見を否定しない(されない)』点でしょう。せっかく勇気をもって発言しても「それはちがうよ!」と友達に否定されてしまうと、発言するのがイヤになってしまう子もいるもの。しかし、答えのないテーマには「不正解」はありません。そのため、自然と ”Yes,and・・”(まず相手の意見を肯定してから、自分の意見を伝える)の発言方法が身につくのです。

最近、宮城県在住の知人が小学生向けに「お寺でこども哲学」という素敵な会を企画開催しています。1月のテーマは「どうして学校に行かなくてはいけないの?」(詳細は下記をクリックしてご参照ください→ tera-s | Facebook )
お寺という思考を深めるのに最適な場で、皆で輪になって座りお互いの意見に耳を傾けるという素敵な会です。幼少期からこの思考習慣がついていたら、きっと自分の意見を上手にアウトプットでき、また他人の意見もしっかり傾聴できる人に育つ事でしょう。こんな活動がもっともっと全国に拡がる事を願いますし、私も東京でこのような会を企画できたら♪なんて考えています。

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皆さんのお子さんはおいくつですか?自分なりに考えて意見を発していますか?家族や友人の意見にも耳を傾けていますか?
何才からでも遅くはないので、今日からでも家族でのプチ対話タイムを心よりオススメします。

『チームワークの向上』『本番に強い選手育成』にご興味のある方へ

指導者や親御さんに向けて
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