スケートボード四十住さくら選手の素質通りの生き方

東京五輪で初めてオリンピック競技種目に選ばれたスケートボード。日本代表選手のひとり、四十住さくら選手(以下:さくら選手)について注目してみました。

◆お兄ちゃんに構ってほしくて始めたスケートボード

彼女には13歳離れた兄がいます。13才も年が離れていて性別も違うと一緒に遊ぶことはかなり少ないでしょう。(私自身8歳年上の兄と一緒に遊んだ記憶はほとんどありません)。さくら選手は大好きなお兄ちゃんと遊びたい一心でスケートボードを始めたのです。

ちなみに「スポーツ界で名を残した選手の大半が第2子以降(兄か姉がいる)」という統計データがあります。さくら選手のように兄や姉がやっているスポーツを幼少期から眺め続け、「わたしもやりたい!」と始める選手は数多くいます。兄弟姉妹が同じスクールで学べば環境は一見同じように見えますが、第2子以降は習い始めたその時点ですでに初心者ではないのです。第2子以降は、兄や姉の練習を日々観察して『目で学んできた経験』があるため、習い始めた後の成長率が大きく違うように感じます。さくら選手もご多分に漏れずその1人と言えるのでしょう。

◆さくら選手はひとつの事に没頭するゴールドタイプ

統計心理タイプで見てみると、四十住さくら選手の素質はゴールドタイプ。目標に向かって1人で努力する独立タイプの中でも特に、興味関心の強いひとつの事にこだわり、そこに焦点を絞って没頭・集中できる力が強く備わっているタイプです。

著名なアスリートでは、フィギュアスケートの浅田真央さん・宇野昌磨選手、サッカーの本田圭佑選手、競泳の松田丈志さん、体操の白井健三選手、が同じくゴールドタイプ。浅田真央さんと言えば「トリプルアクセル」、白井健三選手と言えば「ひねり王子」のように、得意技に一転集中して成功する傾向が強いようです。宇野昌磨選手は「興味のある事がフィギュアスケートとゲームだけなので、部屋にはゲーム機以外何もない。早くゲームがしたくて練習を集中して頑張る」と話していました。

さくら選手の場合、当初興味関心が強かったのはお兄ちゃんだったのです。「お兄ちゃんにかまってほしい!一緒に遊んでほしい!」という一心でスケートボードを始めたところ、その魅力に取りつかれてしまい、その後は「登校前・昼休み・帰宅後・塾の後・(場所を替えて)夜間」と、僅かな隙間時間も使って毎日1日5回の練習を継続する日々送ってきたというから驚きです!
まさに「これだ!」というものをみつけたら一転集中するゴールドタイプらしい行動とも言えます。(ちなみにその頃にはお兄さんはスケートボードをやめていたそうです(笑))。

◆本気度を試した両親

彼女がスケートボードを始めた頃、日本ではまだスポーツ競技というより若い男の子達の遊びのひとつというイメージが強かったのでしょう。ご両親は娘がスケートボードをやる事に賛成ではなかったそうで、毎日紙に厳しめのメニューを書いて渡されたと言います。「もうできない」といつか音をあげて辞めるだろうと思って書いていたのかもしれません。しかし、スケートボードの魅力に取りつかれた彼女がここで諦める訳もなく、そのメニューを日々実践する事で、逆にメキメキと上達していったのです。

この行動を見て、彼女のスケートボードへの情熱を感じ取ったご両親はその後、自宅の庭を専用練習場に改造。更に上達するに従って、練習環境の整った県外まで車を何時間も走らせて送迎してくれたそうです。夜中まで練習した日は親子で車中泊し、翌朝そのまま学校に行く事もあったと言います。

私は『子どもが本気でやりたいものを見つけるまでが親の役目。みつけた後はサポートするのみ』だと思っていますが、さくら選手のご両親はまさにそれを体現されていると感じました。

◆スケートボードは楽しさしかない

彼女のコメントからは、スケートボードが大好きで楽しくて仕方ない様子が伝わってきます。

「楽しいから毎日限界まで練習していただけ」

「最初はできない技も、練習を重ねればできるようになっている」

「スケートボードは嫌いになった事がないし悩んだ事もない」

(参考記事:https://www.nikkansports.com/olympic/column/edition/news/202105260000238.html)

この気持ちに負けず嫌いの性格が加わった結果、世界大会やアジア大会を順調に勝ち上がり、アジア女王・世界女王という輝かし結果を手にしています。

◆五輪に向かう理想的な姿勢

アスリートが夢見るオリンピックの舞台。しかし日本代表に決まった後から、日本人の期待やメダル獲得の使命を背負って精神的プレッシャーを感じ過ぎ、本番の舞台で実力を発揮できない選手も少なくありません。それに対して、さくら選手は違う見解を示しています。

「メダルが獲りたいとか優勝して結果を残したい、じゃなくて、練習した事を全部出し切れたらいいかなと思っています。出し切れれば結果はついてくるから」

全ての日本代表選手が、さくら選手のような思いで東京五輪の試合に臨んでくれたらと心から願ってしまいます。日本人の期待なんて背負わなくていい。自分が納得できる最大限のパフォーマンスをする。その事だけに集中して頑張ってほしいです!
精一杯の演技が私達の心を動かし、その結果皆を元気にしてくれるのですから!!

『チームワークの向上』『本番に強い選手育成』にご興味のある方へ

指導者や親御さんに向けて
★子どもの根本的な志向タイプについて
★子どもの特性を伸ばす関わり方
★モチベーション・自己肯定感の上げ方をテーマにしたセミナー

スポーツチームの「チームアドバイザー」として
★個々の選手に適したアプローチ法の具体的アドバイス
★選手向け研修の企画・実施
等を行っています。

ご興味のある方は、下記よりお気軽にご相談くださいませ。

ご質問・お問い合わせ