ヤクルト高津監督のチーム構築が若手選手を大きく伸ばす

今年ヤクルトスワローズがペナントレースを制して球団20年ぶりの日本一になりました。1軍監督就任2年目の高津臣吾監督が、昨シーズン最下位だったチームを日本一にまで押し上げた指導ポイントは何だったのでしょうか。

◆自由に楽しくのびのびと!

高津監督は

「選手達が野球人としてどれだけ楽しみながら成長できるか」

「チーム全員がワクワクしながら「今日もやってやるぞ!」という気持ちで試合に挑めるか」

を意識してきたと言います。そして監督自身も選手達と一緒に楽しみながらチームをひとつにまとめ上げたようです。高津監督は2019年まで2軍監督を務めていましたが、2軍で大切に育ててきた選手陣が今シーズン1軍で開花し活躍していました。甲子園で大活躍した奥川恭伸投手もその1人。今シーズンは1軍で後半から安定感のあるピッチングを続け、チームトップの9勝、更に日本シリーズでも先発投手として好投しチームの柱として大きく貢献していました。
HR王になった村上宗隆選手は、高卒でヤクルトに入団した後キャッチャーからサードへポジション変更しています。入団当初はサードゴロもまともに捕れないレベルの守備だったと言います。ここでひと昔前ならどのチームでも、鬼のように厳しい監督やコーチが立てなくなるまで厳しい練習を課し選手達はそれに耐え抜くという根性スタイルの練習法をとったでしょう。しかし『のびのび野球』を理想に掲げていた高津(当時2軍)監督は、バッティングが売りの村上選手が守備に注力し過ぎて得意のバッティングの調子を崩さないように、苦手な守備練習では必要以上に追い込まず時間をかけて育ててきたようです。そして2018年村上選手が初めて1軍の試合に出場した際は、いきなり1回の守備でエラーをしていますが、その後の初打席で見事にHRを打っています。その後HRバッターとして大成した村上選手は、得意を伸ばすのびのび指導法の最高の成果と言えそうです。

 

◆1人で背負わず皆が主役

また、高津監督はお互いで助け合い全員で勝ち上がるチームを築き上げたいと話していました。そして今年のヤクルトの選手成績を見てみると「彼がいたから優勝できた」と言う突出した高成績のヒーローはいません。10勝以上の投手もいませんし、セリーグ打率上位10人にもヤクルトの打者は1人も入っていません。それでも優勝できたのは、投手の細かな継投など監督の好采配もありますが、選手全員がチームに必要不可欠な存在だという強い当事者意識を持って一枚岩のチームで戦った結果とも言えるのでしょう。

 

◆本気の「絶対大丈夫!」が選手の心に届いた

高津監督がシーズンを通して選手達に繰り返し言い続けた言葉が「絶対大丈夫!」というワードです。

高津監督の統計心理分析タイプは生粋のゴールド。独立タイプの中でも特に独自の世界感を持ち、興味関心のある事一点に集中して突き進むタイプ。そしてどこか根拠のない自信を内に秘めている雰囲気があります。つまり、高津監督の言う「大丈夫!」は、選手達の不安を払拭しようと気遣って発した言葉ではなく、心の底から「大丈夫!」だと思って発する言葉だからこそ、選手達の心にダイレクトに響き、選手達にも「絶対勝てる!」と思わせる事ができたのでしょう。

 

◆サッカーチームでも声かけの効果大

私がサポートしているチームでも『試合中のプラスの声かけ』は重要な行動として徹底させています。

先日、某高校サッカーチームに大会後アンケートを取ったところ、

「失点した直後にピッチとベンチの選手達が前向きな声をかけてくれて冷静さを取り戻せた」

「ミスした直後に皆が「大丈夫!次次!!」と言ってくれたので、いつもより早く気持ちを切り替えられた」

「PK前に皆がプラスの言葉で励ましてくれたおかげで、自信を持ってシュートできた」

等、「仲間のプラスの声かけに助けられた」という意見が多数書かれていました。練習で積み上げた力を試合で出し切るには『気持ちの安心・安定』を保つ事が必須なのです。

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今の若手選手達は、『隣の選手もライバル』というストレスフルで競争意識の高い環境で育てるよりも、高津監督流に『個々の得意を伸ばしてのびのびプレーさせ、皆で協力して頑張るスタイル』で育てた方が、心身共にフィットし大きく成長していける最短コースのように感じます。このやり方がスポーツ界でも主流になっていく日はそう遠くなさそうです♪

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