2025年のブログ初投稿は恒例の箱根駅伝でスタートです。
今年は母校青山学院大学が、往路優勝し復路は1度もトップを譲らないまま総合優勝という最高の結果を打ち立ててくれました!!
そして今年の青学大走者10名には統計心理タイプに全員一致の共通点がありました!
◆2025年の青学大走者は全員『希望優先タイプ』だった
毎年各大学走者の統計心理タイプを調べていますが、10名全員のタイプ傾向が揃った事は一度もありませんでした。
2025年の青学大走者10名は全員『希望優先』という思考要素を持っていました。
『希望優先』思考を持っている人は
★明るい未来をイメージするのが得意
★「なんとかなる」と心から思っている
★予想外の状況は起こってから考え対処する
という思考傾向の持ち主。リスク対策や準備に甘さはあるものの、明るいイメージを持って何とか乗り切っていくタイプです。
2024年10月の出雲駅伝・11月の全日本駅伝で青学大は優勝を逃しています。ここでリスク優先タイプの選手なら「このままいくと箱根の優勝は厳しいかも・・」と考えずにはいられないのです。
それに対し、希望優先タイプは「箱根は必ず自分達が優勝するんだ!」と心底思って挑めるのです。
◆緊張で硬くなりやすい共感タイプ
希望優先思考タイプは大きな分類枠のため、更に『共感・独立・直感』という3タイプに分類されます。
3タイプの中で本番に最も緊張しやすいのは共感タイプ。青学大主将の田中悠登選手は今回の走者10名の中で最も共感タイプ要素を強く持っています。
優勝後のインタビューでは
「不安もあったけれどメンバー62名全員が力を合わせれば大丈夫だと信じていました」
と答えていました。
共感タイプは、個人競技に挑んだ場合、不安や緊張を1人で抱え解消できないまま本番に臨み実力を発揮し切れない事も多く、そんな選手を数多く見てきました。しかし駅伝のような団体競技の場合、仲間を心から信頼し「1人じゃない」と思えれば不安と緊張感は大きく緩和できるのです。
田中悠登選手は、主将という重責を担いながらもチーム全員の力を信じた事で、9区ではのびのびと走り切り最後は自分で実況しながらラスト10区の小河原陽琉選手に襷を渡す余裕まで持っていました(笑)
主将の次に共感タイプ要素が強いのは3区を走った鶴川正也選手。4年生になってから実力が開花し、関東学生2部の5000mで初優勝、出雲駅伝で1区区間賞、全日本で2区区間賞と文句なしの結果を残していました。
しかし箱根駅伝は彼にとって初めての経験です。出雲、全日本と比べて注目度が段違いに大きい箱根駅伝では、今まで感じ得なかった緊張感に襲われていた事でしょう。皆から区間賞の走りを期待される中、区間4位で青学大の順位は3位をキープするに留まりました。
試合後は原監督からも次の区を走った太田蒼生選手からも「もう少し2位との差を詰めてから襷をもらう予定だったのですが・・」と愛あるツッコミをされていました。しかし「箱根駅伝のMVPは誰?」という質問に対し、堂々と自分を指さし「自分が前の選手との差を縮められなかったから、その後の太田・若林・野村が活躍しヒーローになれた」と発言していました。これがまさに希望優先タイプの考え方だなと納得してしまいました(笑)
◆往路・復路それぞれに適したメンタルタイプはある
近年の箱根駅伝を見ていると「往路を制し復路はそのまま逃げ切って優勝する」というパターンが主流になってきているように感じます。そう考えると、箱根駅伝に統計心理タイプを活かすとすれば私なら
『往路は希望優先タイプの選手(攻める走りで上位を獲得)→ 復路はリスク優先タイプの選手(現状を分析して1位をキープ する走りをする or 順位を1つずつ上げていく)』になるよう配置します。
今年この配置と逆になっていた大学がありました。國學院大學チームです。
往路は5名中4名がリスク優先タイプ、復路は5名中4名が希望優先タイプでした。往路と復路では復路の方が走者間の距離が離れてきています。希望優先タイプが持つポジティブイメージで「頑張れば前の選手を追い抜いて順位を上げられる!」という気持ちに火が着きやすいのは団子状で走っている往路の1区~3区。逆に復路は距離が離れすぎて、このポジティブイメージが沸きにくく希望優先タイプのメンタル特性が発揮し切れないのです。もし走者を往路復路逆に組み直していたら状況は変わっていたかもしれません。とはいえ、箱根は山上りや山下り等コース毎に大きな特徴があるので統計心理タイプだけで組めないのが難しいところです。
メンタル特性を活かすためには、練習時からメンタル特性に適した区間を走るイメージを持たせ、各区間のルートに合わせたトレーニングを実施できれば、心技体全てを各区で活かせると思うのです。心技体の『心』の重要性は各大学が理解しているでしょうが、そこまで徹底して『区間に適した選手』を配置している大学はまだ少ないはず。
選手1人ひとりが本番で実力を発揮できるように、是非『メンタルタイプを反映した区間配置』を考えてほしいと願ってやみません!