フェンシング太田選手が父とぶつからなかった理由

東京五輪の招致委員としても活躍したロンドン五輪銀メダリストの太田雄貴選手。リオ五輪代表にも選ばれ、金メダル獲得に期待がかけられています。

太田選手の父義昭さんがひじょうに子煩悩に雄貴選手に関わっていたという話題を耳にしたため調べてみたところ、今まで見て来た数多くのアスリート親子とは全く違う関係性でしたので、今日はこのお2人についてご紹介します。

◆父の夢を受け継いだ太田雄貴選手

太田選手の父義昭さんは、高校3年間フェンシング経験があるそうですが、全国大会出場には及ばずに終わっています。そして父親になり、子ども達に自分の夢を受け継ぐべくフェンシングに誘います。
ところが長男はスキーを選び、長女には「フェンシングはガニ股でカッコ悪いからやりたくない」と拒否され、残すは末っ子の雄貴選手のみとなったのです。
今度こそ断られないために、父はゲーム機を買い与え、それと引き換えにフェンシングをやらせたそうです(笑)。
ここから休みないフェンシング漬けの日々が開始します。義昭さんは小学校教師をしていたため、小学校から帰った後が雄貴選手との練習の時間です。サッカーをしてケガをして帰って来ても、雄貴選手の手をテーピングし、包帯をグルグル巻きにして剣を持たせたという徹底指導ぶり。
1日も休みのない父の指導は4320日(11年以上)に及んだと言います。これに対し、大きな抵抗もせずその指導を受けてきた雄貴選手は、どんな志向タイプなのでしょうか。

◆太田雄貴選手は共感タイプ

太田選手の志向タイプを統計心理分析でみたところi-colorオリーブでした。
信頼する人に頼られると断れず、その期待に全力で応え笑顔で喜んでもらおうと努力する共感志向タイプです。
元々お父さんが大好きだった雄貴選手ですから、お父さんが兄や姉ではなく自分だけにフェンシングを手取り足取り指導してくれるのは、最高に嬉しかった事でしょう。

そして父義昭さんも雄貴選手と同じく共感志向タイプだと思われます。このタイプの人が親になると、子どもの可愛さ余って『過干渉気味の親』になる傾向がひじょうに強いのです。
義昭さんも後に自らの対応をふり返り「過保護だった」と話されています。
雄貴選手がフェンシングに集中できるように、毎朝学校まで車で送り、学校の持ち物準備から栄養バランスを考えたお弁当作りまで、全て義昭さんが担当していたのです。ここまで親に手をかけられると、大半の思春期男子は煙たがり、その対応を拒否するものでしょう。
しかし雄貴選手は、信頼する人には常に見守っていてほしい共感志向。だからこそ、これらの行動を抵抗なく受け入れられたのでしょう。
以前インタビューで「最後の晩餐に何を食べたい?」と聞かれた雄貴選手は
「お父さんのお弁当です」
と答えたそうです。このコメントからも、嫌がるどころか感謝の気持ちで一杯だった事がわかります。

◆志向の違いでぶつかった内村航平選手と母周子さん

 Uchimura&Mama2

それに対し、以前ブログでも取り上げた体操男子日本代表の内村航平選手と母の周子さんの場合はどうだったでしょうか。過干渉対応の周子さんに対し、他人に構われずに自分のやり方で成長していきたい自分志向の航平選手
昨年世界選手権で金メダルを取った航平選手に、母周子さんから「ご褒美に航平の大好きなおかずを作りたいので何がいいか教えてください♡」と愛情たっぷりのビデオレターが送られました。それを見た航平選手は、間髪入れずに「嫁の作ったものが食べたいです!」と言い切っていました(笑)
このやりとりを見ても、義昭さんと雄貴選手の親子関係とは対照的に違う事がわかります。

<関連記事>内村航平ママの子育て教訓を全ての溺愛ママに聞いてほしい
http://makokouno.main.jp/wp/163/

◆まとめ

親が同じように過干渉気味の対応をしても、子どもの志向タイプによってその受けとめ方は全く違ってきます。
太田父子の場合は偶然近しい志向だったため良い関係性を保てましたが、内村母子のように志向タイプが違うと、お互いの気持ちは理解しがたく、関係性も悪くなりがちです。
兄弟姉妹であっても志向タイプは大きく違います。親は子どもの志向性をよく見極め、個々に合わせたアプローチ法を取ってほしいと願います。

ロンドン五輪で銀メダルを取ったフェンシング団体フルーレは世界大会準々決勝で敗れ、リオ五輪出場権を逃しました。
太田選手は
「選手村で1人でご飯を食べるのは嫌。2020年の東京五輪に繋げるためにもリオは団体で皆で出たい」
と、仲間と共に出場する事を切望していましたが、その願いは叶いませんでした。
それでも彼は「個人で金メダルを取ることで2020年東京五輪の機運を高め、フェンシング界と日本スポーツ界を盛り上げたい!」と強い使命感に燃えています。是非日本中の人達が歓喜に沸き上がるような結果を残してほしいものです。共感志向の太田雄貴選手にとって、日本中の笑顔が彼自身の喜びでもあるのですから!

(画像:http://www.oricon.co.jp/news/2028547/photo/1/)
(画像:http://www.sakaiku.jp/column/mental/2016/011519.html)