WBCで世界一になった日本チームが成功したポイント

栗山監督率いる侍JAPANがやってくれました!!14年ぶりに世界一奪還です!!
世界一奪還を心から期待していたものの、メキシコやアメリカの大迫力の大リーガー陣を前にヒヤヒヤしながら応援していた私です(^^;)
無事世界一を掴んだ今、「栗山JAPANの凄さはどこだったのか?」と考えるとそれは
『短期間で世界一のチームワークを作り上げたこと』だと思うのです。

その中心人物は、栗山英樹監督・ダルビッシュ有選手・大谷翔平選手の3人です。
そしてこの3人のメンタルタイプは、なんと同じ 共感リスクタイプ(バイオレット)なのです!
このタイプは「仲間の輪や人との繋がり」を重視し、信頼した仲間のためなら全力で力になろうと行動する傾向の強いタイプです。また、事前に予測できる心配事は全て対処し、準備万端の状態で本番に臨みたい慎重な面も持っています。
これを踏まえて、3人のWBCでの行動をふり返ってみました。

◆栗山監督の選手を気遣った対応

まず、侍JAPANを率いる栗山監督は、最高の選手を集めるために時間をかけて選手1人ひとりにアプローチしてきました。ただし「侍JAPANに参加してほしい!」という熱い押しの姿勢だけではなく、選手自身の事も親身に考えた上でのアプローチでした。
今年から大リーグに挑戦する吉田正尚選手に至っては、本人がWBCに参加したい強い意志を示していたにもかかわらず「本当に出場しても大丈夫なのか?」と吉田選手の大リーグでの活動に悪影響が出ないのかを心配し、何度も確認を取りながらの交渉だったと言います。

また、WBCで4番を任されながら絶不調(打率1割台)だった村上選手には、不調で全く打てない間も使い続け「最後はお前が決めるんだぞ」と言って励まし続けていたと言います。そして準決勝メキシコ戦9回に無死1.2塁という絶好のチャンスで村上選手に打順が回ってきたのです。観戦している側は「ここまで打てていないなら村神様にバント指示もあるのかも?」と予測する中、「ムネに任せたから思い切り振ってこい!」と送り出した栗山監督。それに応えるように村上選手から値千金のHRかと思わせるような劇的サヨナラ2点打が生まれたのです!!

翌日の最終決勝戦。チームの主軸あるダルビッシュ選手と大谷選手に投げさせるかどうかは
本人達からのアプローチを待った」と言います。同じメンタルタイプでお互いの心の内を深く理解し合っている3人。そして2人は自ら「行きます」と申し出て、栗山監督はそれを受け入れて起用したのです。

栗山監督の、選手の不安やプレッシャーをできるだけ減らして思い切り野球ができるように気遣う姿勢、そして本人の気持ちを優先してくれる姿勢を選手達も感じ取り、それに応えたいという強い思いを持って全選手がのびのびプレイできていたのでしょう。

◆ダルビッシュ選手がまとめ上げた若手投手陣

前回のブログにも書きましたが、今回のチームの仲の良さと一致団結力はダルビッシュ選手が作り上げたと言っても過言ではないでしょう。
今回集められた投手陣は、20~25歳の若手投手が15名中10名、つまりダルビッシュ選手より一回り以上年下の投手が大半だったのです。彼らが小学生の頃から活躍していたダルビッシュ選手の存在は大きく、尊敬の念が強すぎて気軽に話しかけた選手は少なかったと思われます。
そんな遠慮を払拭するべく、ダルビッシュ選手は自ら食事会を企画したり、溶け込めていない投手が自然とチームの輪の中心に入れるように様々な工夫をしていました。
(詳しくはこちらのブログ参照 → http://makokouno.main.jp/wp/4339/
共感リスクタイプ(バイオレット)の彼の取った行動は、メンタルタイプの特徴を見れば、心のままに行動した=素質のなせる業だったと言えそうです。

◆大谷選手の選手陣への気遣い

大谷選手の共感リスクタイプ(バイオレット)らしさは、選手達との接し方から見て取れました。
誰一人取り残さず全員がチームに溶け込める事を望むタイプらしく、彼はまずヌートバー選手のサポート役をしていました。日本語が苦手なヌートバー選手のために(今回は通訳の水原一平さんが同行していたのですが)、大谷選手はヌートバー選手の隣に座って笑顔で密に会話をしていました。他の日本人選手とのコミュニケーションの架け橋になったり日本チームについて色々教えたりしていたのでしょう。
また、前半戦でいい当たりが出ていなかった村上選手や岡本選手にも、彼らが凡打や三振でベンチに戻るなり大谷選手が肩に手を当てながら話し込んでいるシーンが何度も見られました。大リーグ所属投手の特徴やバッティングポイントなどをアドバイスしていたのかもしれません。
また、若手選手陣が声を揃えて言っていたのは「大谷さんの全てが勉強になった」というコメントです。食事から睡眠、トレーニング、人への対応など、世界のトップ選手としてあるべき姿を指導する事なく背中で見せていたようです。

また、大リーグではあまり大袈裟なパフォーマンスは見せない大谷選手ですが、今回のWBCではいつもと違う行動を取っていました。出塁した時にはヌートバー選手のペッパーミルポーズを率先してやったり、仲間の好プレーにはベンチから出て誰よりも大きなリアクションを取ったり、準決勝のメキシコ戦9回裏に先頭打者でヒットを打った時には1塁前でヘルメットを投げ捨てて2塁まで走り2塁から日本ベンチの方を向いて手を広げながら雄叫びを上げたり、と、チームムードを盛り上げるためのパフォーマンスが何度も見られました。
全ての行動は『選手全員が笑顔で力を出し切れるように』、そして『全員の力で世界一を掴み取るために』と考えた上での行動だと感じ取れました。

◆イマドキの選手達にピッタリはまった3人の対応

これら3人の(いわゆる体育会系の手荒い対応とは真逆の)『背中を支えるような優しいサポート』がイマドキの若手選手の実力を発揮させた一番の要因だと思うのです。
特に若手投手陣が強豪国メキシコやアメリカの強力打線を前に、ひるむことなく実力を発揮しナイスピッチングを見せてくれたのには本当に驚きました!
過去のWBCや五輪では、その場の空気に飲まれてストライクが入らない投手や、緊張して実力が出せずに終わった投手が必ず1人2人いましたが、今回は大崩れする投手は1人もいませんでした。

もちろん栗山監督の起用法にも、相手チームの強力打線を抑える工夫がありました。「相手打者が2度目の打席で対応してこないように」と、若手投手が登板した際には相手選手が一巡したら交代するように細かな投手交代を続け、相手打線が日本の若手投手陣のクセを掴む前に次の投手を出すという策も功を奏したと言えるでしょう。この起用法を見ても「伸びしろのある若手投手陣がWBCで連打を浴び、自信をなくして帰国する事が間違ってもないように」という栗山監督の選手想いの配慮と慎重さが感じられます。

また、ダルビッシュ選手が食事会で若手投手陣との時間を過ごす中でも
「無理に気負う必要はない」「大舞台で野球を楽しんで」
という話をしてくれていたのだろうと想像できるのです。

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世界一を取ったものの、どこかほんわかした温かさのある今回の侍JAPAN。このチームビルディング法が、イマドキの日本の若者に最も適しているのではないでしょうか。
スポーツチームの指導者や学校の先生方にも、この「栗山JAPAN方式」を是非とも取り入れて、若い選手や学生達をのびのび成長させてほしいと願ってしまいます!
何はともあれ、栗山JAPAN世界一奪還、おめでとうございました!!!

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