子どもの「なぜ?」にはすぐ答えない方がよい

先日カナダの15歳少年ウィリアム・ガドゥリー君が、星座の位置とマヤ文明の都市の位置が重なる事を発見し、Google Earthを使い未だ発掘されていないマヤ文明の遺跡の場所を見つけ出した可能性があるとニュースになりました。

後日専門家達はこの場所はマヤ遺跡ではなく畑の跡地だと論じていますが、メキシコのジャングル奥地のためまだ正確な実証は取れていません。

◆「なぜ?」からの仮説立て

ウィリアム君は、マヤの『地球滅亡期の予言説』を知り、これをきっかけにマヤ文明に興味を抱いたと言います。そしてマヤ文明の都市を調べていくと、どの都市も川から離れた山間部にある事に気づき「なぜ不便な山奥に都市を築いたのか?」という疑問を持ち、詳しく調べるようになっていったのです。

するとマヤでは星が信仰されていたとわかり、今度は「古代マヤ人は星座に基づいて都市の場所を決めていたのではないか?」という彼独自の仮説を立てたのです。そして22種のマヤの星座を研究した結果、117都市がその星座の位置に一致している事を発見しました。都市の並びはほぼ完全に星図と一致していたものの、ある1つの星座の位置には遺跡がなかったのです。

そこでウイリアム君は今度は「ここに未知のマヤ文明の遺跡があるはずだ」と予測しました。それまで星座とマヤ文明の都市の関連性について指摘した専門家は誰もいなかったのですから、みつかればこれは世紀の大発見とも言えるでしょう。

この予測を検証するために、彼は大学博士の協力を得てカナダ宇宙局からNASAとJAXAが撮影した衛星画像を手に入れました。そして正確な位置を特定した結果、拡大された画像からユカタン半島の密林の中にクッキリと線状の人工的特徴が確認できたのです。

William Maya2

現在、考古学研究者達は「トウモロコシ畑かマリファナ畑の跡地に過ぎない可能性が高い」との見解を示し、彼の発見を否定的に論じています。しかし、もしこの場所に遺跡がみつからなかったとしても、ウィリアム君のこの発見を無きものとして良いのでしょうか?

◆疑問→仮説→検証の大切さ

ウィリアム君は自分の興味のある分野にのめり込み、「なぜ?」という疑問を解決するために自ら仮説を立て、この結論に至るまで調査し続けました。親がやらせた訳でもなくここまで探究した理由はもちろん『自分が心から興味関心のある事だったから』に他なりません。そして、どんな文献を調べてもこの仮説を検証した専門家がいなかった事も、彼の発見欲求に火を着けたのでしょう。

この疑問から仮説→検証までの期間、彼がどんなに目を輝かせ脳をフル回転させて探究したかと想像するだけで、こちらまでワクワクしてしまいます。

◆まとめ

暗記学習が主流の日本の勉強法も徐々に改善され始めています。大学入試も一回の試験の点数だけでなく、様々な分野の知識を組み合わせ自分の言葉でアウトプットする総合的応用力が重要視されて来ているようです。

では子ども達にこれらの力を付けさせるには何をすれば良いのでしょうか。それには幼少期から自分1人でじっくり考えるクセをつけさせる事だと思うのです。「なぜ?」と疑問に思った時、私達大人でもすぐにネットで検索したり、博学な人に質問して答えを聞き出そうとしがちです。しかし、自らの思考力をもっと伸ばしたいのならば、答えを調べる前にまず自分1人でじっくり考えて幾つか仮説を立てたり答えを予測する事がひじょうに大切だと思うのです。

また、物語などの本を多読させるのも効果的ではないでしょうか。文章を読みながら登場人物の顔、声、性格を想像し、各場面を脳内で映像化し、言葉で表現されていない心情は自分で予測して感じ取る・・・読書はこんな風に頭をフル回転させる事で、豊かな想像力・思考力が自然と身に付く一番の方法とも言えるでしょう。何でも手取り足取り教え込むよりも、1歩距離を置いて自分で考える時間を沢山与えてみてはいかがでしょうか。
今回マヤ文明の新発見を予感させてくれたウィリアム君のニュースを通して、こんな事を改めて考えさせてもらえた気がします。

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