登坂絵莉選手を支えた至学館大の仲間達

至学館大学レスリング部。吉田沙保里選手や伊調千春・馨姉妹を始め、優秀なレスリング選手を創出している大学です。そしてリオ五輪の出場権を獲得した女子日本代表選手6名全員が、至学館大学卒業生または在学生なのですから驚きです。

この中でも特に金メダル候補の1人でもある登坂絵莉選手に注目してみました。レスリング選手とは思えないような可愛いキャラクターの彼女がここまで強くなった理由を、小学生時代から大学時代までをふり返って考えてみました。

◆泣き虫だった小学校時代

9才で父修さんからレスリングを指導された登坂選手。試合で負ける度に泣きじゃくっていた娘を両親は「次の試合で勝てばいいんだよ」と優しく励まし支え続けたと言います。
その後通ったレスリングクラブの角地山監督は「ジュニアの指導では勝ち負けよりも体力作りが重要」と考え、練習の最後は鬼ごっこをさせる等楽しみながら体力をつける指導をされてきました。これらの指導は登坂選手の志向にぴったり適していたのです。登坂選手のi-colorは共感志向のバイオレット。1人きりでコツコツ努力するより、家族や仲間と気持ちを共有しながら進んで行きたい志向タイプです。家族や監督にメンタルを支えてもらいその分試合の結果で恩返しをする、この良いサイクルで登坂選手は着々と力をつけて行ったのです。

◆仲間と共に成長した大学時代
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至学館大学時代は同期の菅原ひかり選手・伊藤史織選手・栄希和選手(栄監督の愛娘)との絆が彼女を支えました。試合で勝てない時も皆と一緒に食事会をしてお互いを励まし合いながら成長してきたと言います。この4人の中でメンタルが最も強いと思われるのは自分志向タイプの栄希和選手。右手首の手術をした事もあり今回の五輪は見送り東京五輪に照準を合わせて頑張っています。
残りの登坂・菅原・伊藤の3人は、仲間と共に頑張りたい共感志向タイプです。彼女達は自分のためだけを考えてもやる気がMAXまで上がりません。日々支えてくれる家族やコーチや仲間に恩返しをしよう、良い試合をして皆を笑顔にしようと考えると、モチベーションが上がりパワー全開になれるのです。この同期達がいたからこそお互いの心を支え合い、辛い練習もスランプ時も耐えて来られたと言えるでしょう。

◆仲間の1人菅原ひかり選手

菅原ひかり選手は12歳で親元を離れて上京し、吉田紗保里選手の父吉田栄勝さんのレスリング道場に入門しました。寝食を共にする栄勝さんは、コーチであり父親の代わりでもあったのでしょう。しかし栄勝さんは2014年に61歳という若さでクモ膜下出血により急逝されました。菅原選手は突然心の支えである恩師を失ってしまったのです。菅原選手のi-colorは共感志向のオリーブ。慕っていた人を失った時誰よりも心に痛みを負いやすい繊細なタイプの彼女は、立ち直るまでに人一倍時間を要した事でしょう。
彼女の携帯には今も栄勝さんのLINEが写真と共に残っています。そして試合が近くなると、栄勝さんのLINEに長いメッセージを送って近況を報告しているのです。彼女の恩師は心の中で生き続け、彼女の精神面を今でも強く支えてくれているのでしょう。

SugawaraHikari

また、i-colorオリーブ自分を慕ってくれる仲間の中で皆をリードする役割が得意です。至学館大学同期の仲間からも「皆のお母さんのよう」と言われていました。現在は高校の体育教師になりレスリング部で指導もしている菅原選手。「生徒達は本当にかわいい」と言う彼女の生き生きとした表情から、1人で頂点を目指して戦っていた選手時代より、教師兼コーチという今の方が彼女の本質にピッタリはまっているように感じました。

◆吉田紗保里の胸を借りて成長した登坂選手
Yoshida&Tosaka

(画像元:http://www.jiji.com/jc/p_archives?id=20150910135943-0019879209)
登坂選手は至学館大学を練習拠点にしている吉田沙保里選手と試合形式での練習を繰り返しています。この練習を通して多くの事を学び取り着々と力を増してきたのです。同じ大学の先輩とはいえ、トップオブザトップの吉田選手の胸を借りるのは勇気がいる事です。しかし登坂選手は「もっと強くなりたい!」という純粋な思いをぶつけ、吉田選手もそれに応えるように相手役を買って出ています。ここに共感志向の人懐っこさが生かされています。必死に食らいついてくる登坂選手を「妹のようにかわいい存在です」と語る吉田選手。登坂選手も「お世話になった先輩に恩返しするためにも吉田選手と一緒に金メダルを獲得します!」と断言しています。吉田選手を尊敬しつつその背中を追いかける中で、自らのモチベーションも自然と上げて行けたのでしょう。

◆まとめ

共感志向の登坂絵莉選手は、一見するとメンタル的に個人競技のアスリート向きではないように感じます。しかし心から慕う指導者・先輩、そして自分のメンタルを支えてくれる優しい家族・仲間がいれば、それをパワーとモチベーションに替えて試合本番で実力を発揮できるのです。共感志向の心優しい選手が強く勝ち進んでいくには、人間関係の環境をベストに保つ事がポイントと言えるでしょう。
吉田沙保里選手と共に挑むリオ五輪では、実力を出し切って金メダルを獲得してもらいましょう!!

<関連記事|吉田沙保里選手の涙の理由と登坂絵莉選手の存在>
http://makokouno.main.jp/wp/171/

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