広島東洋カープが25年ぶりのセ・リーグ優勝を果たしました。私の中高時代からの親友のカープファンも一家をあげて大喜びしています。私自身は違うチームファンですので悔しい限りですが、今年の広島カープは強すぎます。まさに完敗です。
胴上げの際、ベテランの黒田博樹選手と新井貴浩選手がガッチリ抱き合って男泣きしている姿に広島ファン以外の方も感動したのではないでしょうか。
今年の広島カープを牽引したこの2名のベテラン選手を調べてみたところ、リオ五輪のあるチームと近しい関係性が見えてきました。
◆不器用ながら1人わが道を進むi-colorゴールドの2人
黒田博樹選手と新井貴浩選手のi-colorは共に、自分志向のi-colorゴールド。
他人の意見に惑わされることなく、最後は自分の思いを貫き、独自のやり方で1人わが道を進む強さを持っているのが特徴です。
i-colorゴールドのアスリートには、野村克也さん(野球)・本田圭佑選手(サッカー)・浅田真央選手(フィギュア)・清水宏保さん(スピードスケート)・白井健三選手(体操)など、独自のやり方にこだわったアスリートが多数います。
黒田選手は米メジャーリーグへ、新井選手は阪神タイガースへと、2人共に1度は他球団に移籍しています。広島ファンのブーイングも覚悟の上。それでも、挑戦したい気持ちは抑えず、自分の意思を通し、「その姿を見て判断してほしい」と考える自分志向らしい決断です。
更に、長期間に渡り継続するのは苦手なi-colorゴールド。黒田選手はロサンジェルス・ドジャースから4年契約を提示された時
「戦地に行くつもりでアメリカに行く。4年間もそんな苦しいことはできない。『苦しい時間』が短い方が自分は頑張れる。3年間できちんとした成績を残せれば、4年目に同等かそれ以上の契約を交わせるはずだ」と考え、契約年数を3年に短縮するよう自ら申し出たと言います。自身のモチベーションの保ち方を熟知していたのでしょう。
そして見事に3年間で結果を残し、その後契約を1年延長、更にその後ニューヨーク・ヤンキースでも3年連続2ケタ勝利の活躍を残しています。
そして2014年シーズン終了後FAとなり、大リーグ他球団からもオファーがある中、古巣の広島カープを自ら選び日本に戻ってきたのです。
広島での復帰会見では
「いつ最後の登板になっても良いという気持ちでやっています。1球1球にどれだけの気持ちを込めて投げられるかと考えた時に、カープのユニフォームを着て投げて最後の1球になった方が、後悔が無いと思い、復帰を決断しました」
と素直な気持ちを語っていました。
海外チームからの何倍もの高額オファーを断った事からも、黒田選手のカープに対する思い入れ、そしてカープファンに対する感謝の思いは強かったのです。
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新井選手も悩んだ挙句2007年のシーズン後にFA権を行使し、阪神タイガースへ移籍を決断しました。
「自分を厳しい環境に置き、そこでどう変わっていくか、挑戦する気持ちが出てきた」
1か月間悩み抜いた末の決断です。「辛いです。カープが好きだから」「喜んで出て行くわけではない」と語りつつも挑戦する気持ちを諦めなかったのは、プロアスリートとして正しい決断と言えるでしょう。
そして阪神タイガースで7年プレーした後、広島カープからオファーを受けた際、提示された年棒は前年度の十分の一だったにもかかわらず、即断したと言います。
今回は「もう1度自分を育ててくれたチームでレギュラーを目指して勝負したい」という思いが勝ったのです。
生きている限り、自分のやり方で「成長・前進」を望む自分志向の考え方は、本当にアスリートに向いていると感じます。
この2人のベテラン選手が、ただならぬ決意の元、一球入魂、一打席入魂の精神で戦う姿を見て、後輩のカープ選手陣も引き寄せられるように全力プレーをしてチームが一丸となった結果が、この圧倒的な勝利に繋がったのではないでしょうか。打線だけでなく、守備でも全力プレーが数多く見られ、「かつての堅守のカープが戻ってきた」と喜ぶファンの声も聞かれます。
◆ベテラン松田丈志選手が引っ張った競泳男子リレーチーム
(画像:http://prt.iza.ne.jp/kiji/sports/images/160810/spo16081020100126-m1.jpg)
リオ五輪では競泳男子の自由形800mリレーチームが、この種目では52年ぶりの銅メダルを見事獲得してくれました。
チームを率いるベテラン選手の松田丈志選手は、五輪4度目の挑戦となり、今回はチーム最年長の32歳。選手としてのキャリアも終盤に入り、自己記録更新に伸び悩む中、リオ五輪では自由形リレー1本に勝負を懸けようと決断したのです。
松田選手は、リレーチームの中に「松田さんならアンカーで絶対に順位を守ってくれる」という信頼感を作らなければ・・と意識しながら練習に臨んでいたと言います。彼のi-colorも、自分志向のi-colorゴールド。自分で決めたやり方で1人黙々と努力するタイプです。
その意気込みは、もちろん他のリレーチームメンバー3人にも伝わっていました。銅メダル獲得後、第一泳者の萩野公介選手は
「後ろの3人が心強かったです」とコメント。
そして、アンカーを務めた松田選手も
「いい位置で引き継いでくれたので、なんとかメダルをと思って泳ぎました」
「このメダルをきっかけに、若い選手たちが日本の自由形をさらに強くしてくれることを願っています」と満足げに語っていました。
◆まとめ
チームの心をひとつにまとめて勝利を手にするためには、
★リーダーが常に皆の前で大声をあげて鼓舞する方法
★スランプの選手をメンタル面で支えて伴走する方法
★個々に厳しい練習メニューを課し、細かく管理して引き上げる方法、
など、様々なやり方があるでしょう。
今年の広島東洋カープとリオ五輪競泳男子リレーチームは、いずれも
『ベテラン選手の全身全霊で挑んでいる背中を見て、他の選手達がその姿勢に感化され、全力を出し切った結果』だと言えるのではないでしょうか。
クライマックスシリーズを残してはいるものの、広島東洋カープが今シーズン限りであろうこの最高の布陣で、今の勢いのまま強豪パ・リーグと戦い、日本一を獲得し、セ・リーグ復活の兆しを見せてほしいと願ってやみません!
“広島カープとリオ五輪競泳男子リレーチームには共通点があった” への 1 件のフィードバック
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