試合でミスした後にほしい声かけは?

先日、某高校の団体スポーツ女子チームよりご要望があり、試合の1週間前にセミナー&ワークを実施してきました。

心・技・体のバランスが整わないと最高のパフォーマンスは発揮できない事を理解してもらった後、今まで経験した試合を思い出し「本当はしてほしかった声かけ」「されて嫌だった声かけ」を発表し合うグループワークを実施しました。すると、明確に意見が分かれたのです。

 

◆ほしい声かけの違い

ほしい声かけとして上がった1つめは、気持ちが上がる言葉をかけてほしいというものでした。「たとえミスをしても「ナイス!」と言ってハイタッチしてほしい」という声が多く出ていました。この意見を出した選手達は元気もよく、「マイナスを振り返るより、すぐに次のプラスに向かっていきたい!」という気持ちが感じ取れました。

 

2つめは、皆がいる事を意識させてほしいという意見。「なんでもいいから「一緒に!」って付けて言ってほしい」と言っていました。ミスするとその責任から孤立感を感じて下を向いてしまいやすいのでしょう。近しい意見では「頭をポンポンしてもらえると落ち着く」という意見もありました。すぐ近くに励ましてくれる仲間がいると感じられると、その後も気持ちを切り替えて頑張れるようです。

この2つに対して、真逆に感じたのが3つめのタイプです。それは、明確に言葉で指示してほしいという意見でした。中には「できるだけ具体的にダメな事ははっきりその場で言ってほしい」という意見もありました。彼女達の発表する時の目線からは強い意志が感じられました。

 

◆やりがちな声かけ

こうして改めてチームメンバーの気持ちを聞いてみないと相手の希望は理解できていないものです。私達がよくやってしまいがちなのは、自分がされて嬉しい事を人にもする、という行動です。小さい頃に親から教えられた人も多いでしょう。もちろん、荷物を持ってあげたりケガした人をサポートしたり、という万人共通して嬉しい行動はしてあげるべきですが、前述のワークで上がった声の通り、自分がミスをして焦っている時にしてほしい声かけは、個々に大きな違いがあるのです

きっと今までは、明確に言葉で言ってほしいと思っている選手は、誰かがミスすると「ダメダメ。もっと〇〇にして!」と具体的によりよい動きを指示していたのでしょう。しかし、頭をポンポンしてほしい選手や、「一緒に頑張ろう!」と言ってほしい選手がこの声かけをされたらどうでしょうか?
この優しい対応を好む選手達が感じる苦手な声かけは「プレー中にダメ出しされること」でした。また、「これをされるとメッチャへこむ」とも言っていたのです。

逆に、厳しい言葉で指摘してほしい選手がミスをした後に、「ナイス!」と言ってハイタッチを求められたらどうでしょうか?「どこがナイスなの!?」と腹が立ってしまう可能性もあり得ます。

どちらも、よかれと思って発した言葉が、まさに傷口に塩を塗るような声かけになっていた訳です。

 

◆瞬時にリアクションできる練習

この後、グループ毎に、誰がどんな声かけやリアクションを望んでいるか瞬時に行動に移せるようにゲーム形式で練習を行いました。指名された選手に対し、グループメンバーが全員で「ナイス!」と言ったり、「切り替えて!」と強めに言ったり、ハイタッチしたり・・。時に大笑いしながらも、すぐに覚えて楽しみながら行ってくれました。

 

◆心・技・体のバランス

先日TVで松岡修造さんが自分で考え出した漢字を披露していました。それは、体の下に心と書いた漢字と、技の下に心と書いた漢字。「この2文字で「タフ」と読みます」と発表していました。(私としては、漢字字体は納得でしたが、読みは「最強」の方がピッタリ来るかな?と感じました。答えはないのであくまで私感です)

どちらにしても、「心・技・体」は3つ同じように持つべきと思いがちですが、実は「心」が「体と技」を支えているのです。そのため、下で支えている心が揺らぐとバランスが一気に崩れ、時間をかけて準備してきた「体と技」が思い通りに生かし切れないのです

今回のセミナー&ワークでは、選手達から常に笑顔が出ていました。笑顔が出れば、緊張が和らぐ事により筋肉も動きやすくなりますし、冷静さを取り戻せるため、呼吸も深くなります。呼吸が深くなれば、脳の血流もよくなり試合に集中して戦術を考えながらプレーできるのです。
このセミナーの雰囲気のまま、次の試合で頑張ってほしいとエールを送ってきました。
勝ち負けは後からついてくるものとして、まずは全員が心を整えて実力を出し切ってほしいと願っています!!

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