新入生を迎える前のチームの中だるみ感をなくす方法

学生スポーツチームは1月の大会を終えて最高学年の選手は引退し、新1年生を迎える準備期間に入りました。早いチームは入学前の3月後半から新1年生が練習に加わるケースもあります。

この時期、チーム内ではモヤッとした空気が流れがちです。新年度の主将や副主将が決まってもまだ新メンバーが揃っていない上に、主要な大会もない時期だからでしょう。

個々人の目標が決まらず役割意識が薄れると、練習の辛さやチーム内のマイナス面に目が向きがちです。そして小さな不満が積み重なって意識が後ろ向きになると、練習中に集中力が切れてケガをしたり、『チームから抜ける』という選択肢が浮かぶ危険性もあるのです。

そこで、新年度がスタートする前の2月~3月にチーム内で行っておくべき事をまとめました。

 

◆お互いの必要性を確認し合う

マズローの欲求5段階説によると、人間は

①生理的欲求(水を飲みたい・眠りたい等)

②安全の欲求(経済的安定・安全な環境等)

所属と愛の欲求(どこかに属して他者と関わりたい)

承認の欲求(集団内で存在を認め尊重されたい)

自己実現の欲求(自分の能力を最大限に発揮したい)

という5つの欲求が段階的にあり、①から順にその欲求が満たされると、次の欲求を満たそうとする

と言われています。①~②は物質的欲求で、③~⑤は精神的欲求です。

チームのような集団の中にいる時、個々の選手にまず必要なのは

『チームに自分が存在する意味(③所属と愛の欲求)』を満たすこと、その次に

『他メンバーに認められ尊重されたい思い(④承認欲求)』を満たすこと でしょう。

 

そこでこの時期、チームでは選手同士で「お互いの長所」や「チーム内でどんな存在として認めているか」を伝え合うワークを実施する事をオススメします。ミーティングルームに集まり、全員の長所その長所を生かす方法適した役割などについて意見を出し合ってもよいでしょう。
メンバー達から自分の良い点を発言してもらえると、自分を客観的に見た上で長所を自己認識でき自己肯定感を上げる事ができます。
また、試合に出ていない控え選手でも、サポート的活動や他選手への気遣い等、プレー以外に数多くのフォア ザ チームの行動を取ってくれています。これらのいずれかが欠けてもチーム力は落ちてしまうでしょう。その事をレギュラー選手から発言して本人達に伝えてもらうと、控え選手の所属欲求と承認欲求は満たされ、「辞めたい」という発想は浮かばなくなるでしょう。

 

◆チームスローガンを決める

全選手の長所が見えると、チームカラーも自然と見えてくるでしょう。多くの選手が持っている共通の長所をより伸ばせば、チームカラーを生かした成長ができるものです。その強みを忘れず意識するためにも、この時期に新年度のチームスローガンを設定しておきましょう。
スローガンには「チームカラーに関するワード」と「1年を通してのチーム目標」の両方を入れるのがオススメです。

優勝!」など目標のみでまとめるより、「〇〇を生かして優勝!」の方が

「私達のチームカラーを出し切れば優勝できそう♪」というポジティブイメージが持ちやすく、また、優勝がリアルなものとしてイメージしやすくなるからです。

 

◆チーム内で気になる点をクリアにしておく

先ほどの個々の長所を確認した際に、『チームに足りない部分』もいくつか見えてきたでしょう。

そこを誰かが担えるとより強いチームを構築できます。

また、今まで当たり前に行っていた事でも「あれって本当に必要なの?」と感じていたり、「もっとこうしたら良くなるのに」と1人で悶々と思っていた事を、この機会に出し切って改善するとよいでしょう。

これはただの文句出しではなく、「より良いチーム構築のための改善案出し」だと意識して行わせる事が重要です。

4月に入ると各大会に向けた練習が始まってしまうので、この「そもそも論」を話し合っている時間はなくなります。今の時期にこれらのモヤモヤをスッキリさせておくと、4月からの練習により集中できるのです。

 

◆新年度の個人目標を考えておく

次に、5つ目の欲求『自己実現の欲求(自分の能力を最大限に発揮したい)』を満たすべく、新年度に向けた個々の目標設定に入りますが、確定させるのは1年生が加入してからでもよいでしょう。

ただせっかく時間に余裕があるので、

「4月初旬に確定して発表してもらうから、各自今の時期から考えておくこと」

として熟考する時間を与えてあげてください。

 

◆1年生を迎え入れる準備をする

最後は、1年生がスムーズにチームに溶け込めるように1年生を迎え入れる準備です。

最近は面倒な業務は上の学年が担当し、1年生は環境に慣れる事を優先させるチームが増えてきています。新たな環境に不安と緊張を抱えて入部してくる1年生がどうやったら溶け込めるか、特に昨年1年生だった2年生が中心に考えるのもよいでしょう。

私の担当チームは、全選手の価値観特性を調べていますので、下級生の面倒を見るのが好きで、下級生からの「ありがとうございます!」の言葉が自分のガソリンになるタイプの選手に「1年生のお世話係」を任命しています。

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上級生が気持ちをひとつに整え、4月に新1年生を気持ちよく迎え入れ、新チームのスタートダッシュを切りましょう!

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