このブログも、新年第一弾は箱根駅伝からスタート!が定着してきました。
2021年の箱根駅伝は、コロナ感染者数が増加する中、応援自粛を呼びかける形で予定通り1月2日に往路がスタートしました。
昨年末のブログで
「リスク思考タイプは天候や体調などマイナス事象が起こると、物事を悪い方に予測してしまい気持ちが上がってこない」
という話を書きましたが、それが今回の箱根駅伝往路で顕著に現れてしまったチームがあります。それは優勝候補のひとつであった青山学院大学です。
◆主将が疲労骨折により離脱
「今年度は神林がチームの中心として頑張ってくれた」と原晋監督も認める主将ぶりを見せていた青山学院大学4年の神林勇太選手。先日行われた全日本大学駅伝では7区で区間賞を取り、走りでもチームを牽引していました。その大黒柱の疲労骨折が発覚したのが、なんと箱根駅伝の5日前だったのです。箱根駅伝では往路3区を神林選手に任せ、往路から先行する流れを作りたかった青学チームに取って、彼の離脱は計り知れない痛手だったと言えるでしょう。
他にも、昨年の箱根駅伝で1年生史上最速記録を出した岸本大紀選手(2年生)も、股関節の故障により今シーズンは治療に専念しています。2021年はエース選手2名を欠いて迎えた箱根駅伝になったのです。
◆箱根直前での選手の動揺
『主将のケガ離脱』という大きなアクシデントが、もし箱根駅伝の1ヶ月以上前であれば、チーム内で話し合いを重ね、選手達の気持ちを整えて箱根駅伝に臨めたかもしれません。しかしたった5日でそれはできなかったのでしょう。
さらに不運にも、冒頭に書いた「リスク思考タイプ」の選手が今年度の青学チーム往路メンバーに多いのです。
慎重派とも言われるリスク思考タイプが実力を発揮しやすいのは
★十分に計画を練り上げて予定通りに物事を進められる時
★自分の走る区間を早い時期から知り、当日の良い試合運びを何度もイメージして不安要素を払拭してから挑める時
です。
それに対して今回の状況は
▼予測もしない事態(大黒柱の離脱)が大会直前に起こった
▼心の準備も整わず不安感を持ったまま大会に挑むしかなかった
という真逆の状況だったのです。
この状況下でも、ポジティブな希望優先タイプの選手なら
「起こってしまった事は仕方ない。今いるメンバー全員で頑張ればなんとかなる!やってみなきゃわからない!」
と心底思えるのです。これが希望優先タイプの大きな強みであり、チームのムードメーカーとして必要不可欠なタイプなのです。
しかし、今回の青学往路メンバーはリスク優先タイプが揃っているため、大会が始まる前から心のどこかに「ダメかも、、、」という気持ちを抱えたまま、大会当日を迎えた選手が多かったのだと思われます。
◆ストレスと身体の強い関係性
人は過度にストレスがかかると、身体と精神のバランスが崩れて筋肉が緊張し、特に背中や肩など身体の中心部が動きにくくなると言われています。また、強いストレスがかかると呼吸が浅くなり、血液中に酸素が十分に行き渡らず、体の機能が正常に働きにくくなるとも言われています。
5区を走った竹石選手は、2019年のリベンジを果たすべく、昨年(故障により)エントリーを辞退し、留年して今大会にかけて来た選手です。5区をイメージした練習はもちろん何度となく繰り返し行ってきているはず。それでも、気持ちが整わず過度なストレスがかかってくると、身体は練習通りには動かなくなってしまうのです。本人も試合後、
「チームの優勝に向けてという気持ちでスタートラインに立ったが、身体がなかなか動かず思うように行かなかった」
とコメントしています。走りながら「身体が動かない」と自覚して焦った時の頭の中では「また2019年の時のように足がつって止まってしまったらどうしよう」という最悪のイメージが浮かんだ事でしょう。そこからは精神的なマイナスループに飲み込まれたとしか考えようがありません。
◆最後までわからない箱根駅伝
優勝は現実的ではなくなったものの、復路には箱根経験は少ないもののポジティブな希望優先タイプの選手が残っています。復路では王者のプライドは捨て「行けるところまで順位を上げよう!」という開き直りの勢いを持った走りが見られる事を期待します!!