先日TVの対談番組で、ダルビッシュ有選手が大リーグでのエピソードを話していました。
その中で特に心に留まったのが
「コーチのマイナスな言葉かけがずっと頭に残ってうまくいかない時期があった」
という話です。
◆フォアボールの数
以前所属していた大リーグチームでダルビッシュ選手が登板中にフォアボールが多くなり悩んでいた時期がありました。その時、コーチからは毎試合投げ終わった後に
「フォアボールが多い」
「コントロールが悪い」
「今日はフォアボール○個」
と言われ続けた事で、ダルビッシュ選手の頭の中でフォアボールの意識が日に日に強くなっていったそうです。
それが逆効果となり、意識すればするほどストライクが入らず、フォアボールが続いてしまったとのこと。
しかし、チームを移籍し投手コーチからフォアボールについて何もコメントされなくなってからは、以前のような連続フォアボールを出すことはなくなったのです。
このような現象は、真面目な選手ほど強く出るように感じます。コーチの指摘を真面目に受けとめ、「改善しなければ!」と強く意識するあまり、脳が過敏に反応して身体に余分な力が入る事で、思ったように動かなくなってしまう現象。これが続いてしまうのがイップスだと説明している人もいます。
◆学生指導者に望むこと
プロの選手でもコーチの一言がこれだけ大きく影響してしまうのですから、学生アスリートなら尚更でしょう。
特に体育会系の厳しい指導者のもとでは、未成年の選手達が大人の指導者の言葉に疑問を感じても、Noと言える訳もないのです。
いつも感じるのは
『指導者も選手も目指している目標は同じなのに、どうしてベストな関わり方ができないのか?』
というシンプルな疑問です。
この疑問を解くには、選手より指導者側が大きく変わる必要があるのでしょう。
・指導者自身に響いた指導法が最善ではなく、それが適さない選手がいる事を深く認識しておくこと
・選手の心に常に目を向け、個々の選手が心を開いて自分の指導を受け入れているか、また指導者自身が自分と違うタイプの選手に心を開いて接しているか、を自問自答し確認しながら指導にあたること
・『指導者の一言の重さ』を指導者自身が自覚し、発する言葉は慎重に選び言葉に責任を持つこと
などを日本の学生スポーツ指導要綱に入れ、これらを遵守する誓約をしてから指導を開始すべきでは、と思ってしまいます。
◆選手を励ます人に
ダルビッシュ選手がインタビューで引退後の去就を聞かれると
「コーチではなく選手を励ます人になりたい」
「選手に合ったポジティブな言葉を発するのは自信がある」
と発言されていました。
できる事なら、競技を問わず学生アスリートの心のサポーターとなって、ネガティブになった選手達がまた前を向き自信を持って進めるような環境作りに関わっていただきたいと願っています!!