宇野昌磨の本気スイッチを押したトレーナーの言葉

6大会連続2位で『シルバーコレクター』と呼ばれていたフィギュアスケート宇野昌磨選手が、四大陸選手権でとうとう金メダルを獲得しました。

 

◆宇野選手のこだわり

宇野選手が様々なインタビューを受ける中で、意識する選手として唯一名前を挙げていたのは羽生結弦選手です。

「他の選手には「負けたくない」という気持ち。でも羽生選手には「勝ちたい」」

いつも自分の前を行き、人間的にも尊敬している羽生選手を超えたい思いで戦ってきた彼ですが、今シーズン羽生選手はケガで離脱しています。そんな中、彼の発言で多く聞かれるようになったのは

「自分に負けない演技をしたい」

「自分を信じて臨みたい」

「成長した自分を見せたい」

という言葉です。統計心理分析で独立タイプのアスリートが繰り返し口にするのが「自分」という言葉。もちろん宇野選手も独立タイプです。そして、彼は独立タイプの中でも、本当に好きな1つの事にターゲットを絞って没頭したいゴールドタイプです。体操白井健三選手の「ひねり技」やフィギュアスケート浅田真央選手の「トリプルアクセル」など、誰が何と言おうとこだわりたいものに特化して力を発揮したゴールドタイプ選手もいます。(宇野選手の場合、本当に没頭したいのはスケートよりゲームなのかもしれませんが(笑))

しかし、目の前を行く羽生選手が出場しない中、『成長した自分』という漠然とした目標で、更に右足首捻挫のケガを抱えたまま優勝に向けてモチベーションを上げるのは、正直難しかっただろうと予想されます。

 

◆信頼するトレーナーの一言

「人の話は全然聞かないけど、自分が心を許した人の言うことは聞く」という宇野選手。今大会時、彼が心を許している人の一人である出水トレーナーから想いを込めた一言をかけられたのです。

「競技人生で1位がないのは寂しい。昌磨には世界一になってもらいたい」

(出典元:https://www.hochi.co.jp/sports/winter/20190211-OHT1T50000.html

この言葉を聞き、「1位を獲ることがお世話になっている人達のためにもなるんだ」と感じた瞬間に、今まで強く意識していなかった『優勝』という目標に対する本気スイッチが入ったのでしょう。 自分でも納得できる目標にスイッチが入った時の独立タイプは、それを達成すべく今まで以上に集中して実力を発揮する傾向があります
とはいえ、今回は右足首の捻挫により充分な練習ができず万全とはいえない状況での出場でした。それが影響したのかSPでは4位と出遅れたものの、FPでは最後まで集中力を切らすことなく体力の限界まで力を出し切り、演技が終了した瞬間その場に崩れ落ちていました。宇野選手があのような姿を見せたのは初めてです。そしてFP最高得点を打ち出し、見事逆転優勝を勝ち取ったのです。

◆声かけの重要性

アスリートが本番で実力を出し切るためには、技術力だけでなく気持ちを最高潮に持っていくことが必須です。それには自分の力だけでなく、家族・指導者・トレーナーなど周りのスタッフの声かけがひじょうに大きな役割を果たします。今回の宇野選手の場合は、トレーナーの一言で優勝に対する意識度合が上がったという成功例でしたが、間違った声かけによりアスリートのモチベ―ションを急激に下げてしまう可能性も充分に秘めているのも事実です。アスリートに関わる方々は、担当選手がどんな言動に敏感なのかを常に意識し、言葉選びは本当に慎重に行ってほしいと願っていますし、私自身それをサポートするべく、日々担当チームの指導者の方々と綿密に打合わせをしながら、選手ごとの関わり方をアドバイスさせていただいています。

◆世界選手権の金メダルは誰の手に?

試合後のインタビューで3月の世界選手権に向けた気持ちを聞かれた宇野選手は
「今回はいつもと違って、優勝を目指して練習していきたいと思います」と、あえて『優勝』という言葉を使っていました。

世界選手権には羽生選手も復帰予定です。アメリカのネイサン・チェン選手始め各国のトップ選手が揃う中、優勝への本気スイッチが入った宇野選手がどこまで実力を出し切ってくれるのか、そして目標の羽生選手を超えられるのか、今から楽しみでなりません!

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