羽生結弦選手と宇野昌磨選手 それぞれに適した成長の仕方

フィギュアスケートシーズンがスタートしました。日本男子では、平昌五輪でメダルを獲得した羽生結弦選手と宇野昌磨選手が日本勢を牽引する存在です。しかし現在男子フィギュアでは、4回転ジャンプを5種類成功させているネイサン・チェンが技術面でNo.1の実力を持っています。
彼を超えるべく2人も努力を続けていますが、その方法は大きく違うようです。

 

◆個人競技向きの2人

統計心理分析タイプで見てみると、羽生選手も宇野選手2人ともに【独立タイプ】。目標に向かって自分らしさを表現しながら1人で黙々と努力していける、まさに個人競技向きのメンタルタイプです。

同じ独立タイプでも、羽生選手は長期的戦略を立て、時間をかけて一歩一歩前進していくタイプ(i-colorオレンジ)に対して、宇野選手はあまり細かな予定は立てず、自分のペースで興味関心の高いものに一点集中して没頭したいタイプ(i-colorゴールド)です。今シーズンの彼らの練習姿勢にも、その違いは大きく表れています。

 

◆長期的視点で成長していく羽生選手

昨シーズンより、彼が尊敬するプルシェンコ選手が使用した曲『オリジン』でフリーに挑んでいる羽生選手。今シーズン最初のグランプリシリーズカナダ大会では、このフリー曲で早くも過去最高得点を出したにもかかわらず、「完成度はまだ30%とか20%だと思っている」とコメントしています。彼は常に目標を高い位置に設定し、自分を追い込んで成長し続けています。

羽生選手はカナダを練習の拠点にしています。それを選んだのは、当時4回転ジャンプを得意としていたハビエル・フェルナンデス選手と同じブライアン・オーサーコーチに指導を仰ぐため。そしてもう1つ「間近でフェルナンデス選手の練習を観察して、その技を習得したい」という理由も挙げていました。自分の技術力を向上させるためなら何でも取り入れるという彼らしい選択です。
今回のカナダ大会でも、女子で4回転ジャンプを最多回数成功させているアレクサンドラ・トゥルソワ選手(15歳)にも積極的に話しかけ、4回転を飛ぶ時のポイントを直接聞いていました。

また、会見で今後の演技構成について聞かれると

「最終的にはこのプログラムにクワッドアクセル(4回転半)を入れたいし、もしかしたら4回転ルッツを入れたいって思うかもしれない」

と、更にハイレベルな演技構成を目指している事を公言しています。彼の中では、今シーズンは選手人生の通過年であり、照準を合わせているのは2022年の北京冬季五輪のようにも感じます。
まさに長期戦でプランを立てて一歩一歩成長していくi-colorオレンジらしさが垣間見えます。

 

◆楽しみながら成長していきたい宇野昌磨選手

一方、今シーズンから「メインコーチをつけない」という異例の決断をした宇野昌磨選手。幼い頃から指導を仰いできた山田満知子コーチ・樋口美穂子コーチから離れる事を決めたものの、新たなコーチはつけないまま今シーズンをスタートしています。
メダル候補選手にまで上り詰めた今、得点を上げるためのプログラム構成や選曲をする中、スケートを楽しめていない事に違和感を感じ始め、環境を変えようと決心したと言います。

宇野選手はi-colorゴールド自分が最も興味関心を持った一点に集中して夢中になっている時が最も「自分らしさ」を発揮できる、無邪気な子どものようなメンタルタイプです。細かく自己分析やスケジュール管理をして、コツコツと計画通りに進めていく、大人対応が取れる羽生選手とは大きく違う点です。宇野選手が

「幼い頃のようにスケートを楽しむために、コーチをつけずに自分の好きなようにやってみよう」

と考えるのは、彼の価値観を考えれば至極自然な事で、心から理解できます。本人も

「今シーズンはおそらく僕1人でやっていく。不安はない。1人でも僕は出来ると思っている」

と公言しています。

しかし、今やフィギュア界は4回転ジャンプの戦国時代に突入しています。ジャンプの種類や完成度を上げない事には試合で勝ち目はありません。i-colorゴールドは結果重視タイプでもあるため、宇野選手自身も試合の結果(順位)が伴わなければ心から納得はできないでしょう。

今週行われた、シーズン最初のグランプリシリーズフランス大会では、まずショートPでシニア転向後初の2回の転倒。翌日のフリーPでは、大半のジャンプで転倒してしまい、見ているのが痛々しい程の演技となってしまいました。

そして点数発表を待つキス&クライの席では1人きり。顔を両手で覆ってうつむいている彼に海外のファンからShomaコールが起こると、たまらずに大粒の涙を流していました。しかし、すぐに涙をふいて笑顔を作り、ファンに手を振って応えていました。

 

◆自分らしさを忘れずに

何事も自分で決めて進めていきたい【独立タイプ】。そして、どんなに辛い経験をしてもそれを無駄にせずプラスに生かしていけるのも独立タイプの強さです。

独立タイプの羽生選手と宇野選手ですが、目標(ゴール)に向けて歩むべき道筋や進み方はそれぞれ違ってきます。そして現時点では、羽生選手の方が自分に適した進み方をみつけているように感じます。

宇野選手も、今回の経験をふまえ、あらためて今後の取り組み方を熟考しつつ、楽しみながら滑ること自分らしさを生かしていくことだけは忘れずに、大きく飛躍していってほしいと願っています!

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