大学入試は受験生のタイプに合わせて選べる時代

今年も残すところあと数日。大学受験生は1月15日、16日の共通テストまでのカウントダウンが始まりました。2021年度(現在の大学1年生の入試)から大学入試は大きく変わりました。

★大学入学志願者の能力、意欲、適性は、多面的・総合的に評価するものに転換していくことが求められている

★変化に対応して自ら課題を設定し、答えのない問題に解を見出し、他者と協調しつつ実行実現していくことのできる力が重要

と考え、それを評価するために一般入試以外の選抜試験が設定されました。

大学によって試験内容は違いますが、共通テストのような選択式問題の多い記述テストはありません。一次試験では『志望理由書・自己PRレポート(枚数制限なし)・調査書(学校作成)』等の書類選考があり、二次試験は小論文・個別面接・グループ面接等を実施する大学が多いようです。(二次試験の後、共通テストの成績が合格ボーダーラインを超えてやっと合格とみなす大学も一部あります。)

そして一次試験と二次試験は10月~12月に実施されるため、もしこの試験に落ちても1月からの一般入試に再チャレンジできるのが利点でもあります。大学側としても、受験生を総合的に見る事ができるため、どの大学も選抜試験での受入人数を年々増加していくものと思われます。

我が家の娘もこの選抜試験を受験しましたので、それを終えた今『選抜試験に向いている学生』について考えてみました。

 

◆学校推薦型選抜

これは以前からある、高校からの推薦型の選抜試験で、高校時代の活動実績(勉強・スポーツ・課外活動など)を評価対象とする入試です。さらに「一定値以上の学習成績+学校長の推薦」が出願条件である場合が多く、選抜試験内容は前述の通り大学によって異なります。この試験では

・課外コンクール受賞
・〇〇コンテスト受賞
・〇〇大会優勝
・外部団体に所属して活動実施中

等、『他の生徒よりも秀でた課外活動での結果』が必要なので、高校1年時から興味関心の強いジャンルに深く関わって活動を継続していないと受験対象になるのが難しい試験です。しかし逆に考えれば、『一芸には秀でているけれど、他教科の勉強で好成績は取れていない』というタイプの高校生にはチャンスだと思います。

また、二次試験に面接がある大学が大半ですので、面接でのプレゼンテーション能力を高めるため、自分の得意分野についてどれだけ明確な言葉で熱く語れるかを練習しておけば、一般入試で全科目の受験勉強をするよりはずっと効率的な受験です。

人前で自己アピールするのが得意なタイプや、ひとつの事に没頭する研究肌タイプに向いている受験だと思います。
ただし、研究肌タイプさんの中には一芸に秀でていても「人と話すのが大の苦手」なタイプもいます。その場合、面談で自分をアピールするのにかなり苦労すると思われるので、そこは本人の受験意欲を確認する必要があります。もし受験項目が「書類選考と小論文のみ」の大学で自分が学びたい学科がある大学ならば、このタイプさんにはその大学の学校推薦型選抜試験がピッタリと言えるでしょう。

 

◆総合型選抜

「総合型選抜」は学力だけでなく、将来の目標や学科への適性、学習意欲などを総合的に判断する入試です。出願条件は各大学が求める学生像(アドミッションポリシー)が重視され、受験に必要な高校の成績(評定平均値)は年々下がってきています。つまり大学側は、学校の成績より「自分が学びたい内容やそれを将来どのように社会で活かしたいかを考えている学生」をみつけたいようです。

また、学校長推薦が不要なのが「学校推薦型選抜」との大きな違いです。つまり、出願要件を満たしていれば、校長に推薦書の作成をお願いせずに出願できるのです(成績(=評定平均値)を提出するために調査書の作成依頼は必要です)。選考方法は、面接やレポートなど大学によって違います。

この試験に向いていると思われる学生は、
高校の成績がさほど良くなくても
・自分の学びたい事が明確に決まっている学生
・現代社会が持つ様々な課題に問題意識を持っている学生
どんな職業をしたいかイメージできている学生
・大学でどんな事を学び、それを社会でどのように活かしたいか考えている学生
などです。

短くまとめるなら『学校の勉強より、各テーマを深く考え自分の言葉で述べられる学生』向きです。

また、総合型選抜で最も良いと感じた点
面接で各学科の教授(3名程度)と話す機会が得られるので、その時に大学の雰囲気を受験生本人が感じ取れる点です。私立大学は併願可能な大学も多いため、複数大学の総合型選抜を受験する事で、受験生本人が本当に行きたい大学を感じ取れるという点でも、総合型選抜入試はオススメなのです。

 

◆総合型選抜入試を通して成長したこと

総合型選抜の受験に向けて面接指導する専門塾もあるのですが、内容を見ているともはや就職面接と変わらない事に気づきました。就職面接で
「なぜうちの会社に入りたいのですか?」という質問が
「なぜ本学に入りたいのですか?」に変わっただけなのです。
つまり、総合型選抜の面接練習をしておくと、4年後の就職活動時にめちゃめちゃしっかり話せる位の実力がつくという副産物的メリットもあります。

さらに、自分が本当に学びたい事や将来やりたい事について本当に深く深く考えます。そして同じ志の塾の仲間同志で、1つのテーマについて深く討論し合ったり、お互いの研究内容への質疑応答を繰り返すのです。オンラインで練習しているその様子を垣間みていた私は

人間力が養なわれているなぁ

と感心してしまいました。もはや総合型選抜試験に合格できなくても「この学びは将来のために大きく活かされる!」と感じたのです。もしお子さんが

★様々なジャンルの本をよく読んでいる高校生
★ニュースを見ながら自分の考えを話している高校生
★将来について考えて色々準備を始めている高校生

であれば、記述テストの点数のみで合否を決められてしまう一般入試よりも『総合型選抜入試』の方が適していると思います。

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