2023箱根駅伝 選手変更の難しさと急な抜擢に適したメンタルタイプ

あけましておめでとうございます!
今年も恒例の箱根駅伝のブログでスタートします。
2023年の箱根駅伝は、3冠をかけた駒澤大学と連覇を狙う青山学院大学が注目を集めていました。
始まってみると「あれ?あの選手は?」と首を傾げた人も多かったと思われます。

◆予定の選手が出場できない事態

コロナとインフルエンザが流行っている今、寮生活している選手陣が大会当日まで体調を万全に整えておくのは至難の業です。各校共、予定していた選手が体調不良で走れず、前日や当日早朝に出場が決まった選手もいたようです。
ここで動揺や緊張をしないでいられる選手などいないと思われるでしょう。しかし、急な変更でも抜擢された後「よっしゃ!俺の舞台が来た!」とワクワクスイッチが入るメンタルタイプも少なからずいるのです。
特に今回は山を走る5区・6区で明暗が出たようです

◆5区6区を変更した青山学院大学

青山学院大学は5区予定の選手が前日体調不良を訴え、急遽6区予定の選手が5区に。そして補欠予定だった選手が6区に抜擢されたのです。
6区と言えば復路スタートの区。全国の駅伝ファンがそのスタートシーンに注目しています。青学6区を急遽走る事になった西川選手は緊張感がMAXに達していたのでしょう。山下りのトレーニングを重ねてきたにもかかわらず、スタート時から身体が動かずその事に焦っている間に他校の選手に抜かれていき、頭が真っ白になっていったそう。応援に来ていた家族にも気づけなかったと言います。結果は区間20位でした。

◆急なトラブルでも臨機応変に対応するのが得意なタイプ

急なトラブルやアクシデントがあっても受け入れ、多くの人が注目する場面で「ここが自分の見せ場だ!」と捉えて力を存分に発揮できるのは、直感タイプの中でも希望優先タイプ。青学の西川選手は、残念ながらこのタイプではなかったのでしょう。技術力があってもメンタルの影響でここまで崩れてしまうのですから怖いものです。

相反して、6区で区間賞を獲った駒澤大1年の伊藤選手のメンタルタイプは直感・希望優先タイプ(ターコイズ)でした。
初の箱根でありながら、多くの人達の注目を力にしてイキイキと走っていました。1年生でありながら「彼なら6区を任せられる」と見込んだ大八木監督の采配はさすがです!
ちなみに、6区で2位の記録を出した中央大4年の若林選手も同じく直感・希望優先タイプ(ターコイズ)でした。
もちろん違うメンタルタイプの選手でも、1か月以上前から任命されていれば、本番に向けて心の準備を整えメンタルの不安を解消するべくイメージトレーニングを重ねて挑めるので問題ないでしょう。しかし、急な変更の場合気持ちが伴わない選手も多くいるので、選手変更は本当に繊細で難しいのです。

直感タイプが裏目に出てしまったのは、7区の青学大佐藤選手。彼も直感・希望優先タイプ(ターコイズ)です。しかし、襷を受け取った時点で7位。感覚的にその場の状況に適応できる直感タイプの彼は「このままだと優勝は厳しいかも」という予感がよぎったのではないでしょうか。また、大勢の注目や称賛がエネルギーになる直感タイプにとって、TVに映りにくい順位で走るのは本気スイッチがONになりにくかったのかもしれません。昨年の箱根では1位で襷を受け取った後区間2位の成績で首位をキープしていたのですが、今回は区間7位で全体順位も1つ落とし8位の走りでした。これは青学大にとって誤算だったでしょう。箱根駅伝はチームの勢いや流れがひじょうに重要だと感じ取れた7区でした。

◆「区間5位以内を獲ろう!」の共通目標

また、駒澤大学は「全員が区間5位以内で走れば1位を獲れる」と考え「区間5位以内」を目標にしたと言います。
「三冠を獲る」のが駒澤大学の最終目標に変わりはないのですが、「三冠のためには箱根で各自が区間1位を獲らねば」と考えてしまうと精神的にプレッシャーが大きくなり、身体が動かなくなってしまう選手も出たでしょう。
「区間5位以内」という堅実で実現可能に感じられる目標設定をした事が、全員の力を発揮させた勝因のひとつなのではないでしょうか。
そして見事全員が区間5位以内で走り切り優勝を決めたのです!
ちなみに2位の中央大も10名中8名が5位以内。それに対して青学大は10名中5名が7位以下でしたが、エース3選手の活躍で何とか総合3位を死守しています。
優勝するためには10名がバランス良く5位以内を目指すのが得策のようです。

◆國學院大學に多かったタイプ

もうひとつ、今回気になったのは、4位に入った國學院大學の出場選手です。
出場選手10名中8名が独立タイプでした。ここまで同じタイプが揃うのはひじょうに珍しいこと。

独立タイプは
『常にマイペースで動じない』
『明確な個人目標やライバルの存在があれば、それに向けて黙々と努力できる』
という強みがあるため、特に個人競技のアスリートに多いタイプです。陸上では大迫傑選手や「山の神」と言われた青学大の神野大地選手がこのタイプ。
前田監督は選手を選ぶ際、技術面だけでなく、心理的に本番に力を発揮できそうな選手をご自身なりのルールで見極めているのかもしれません。

◆コーラル同士のデッドヒート!

今回、独立タイプらしさが出ていたのは、4区で首位争いのデッドヒートを見せてくれた青学大の太田蒼生選手と駒澤大の鈴木芽吹選手です。この2人は独立タイプの中でも負けず嫌い度No.1のコーラル。神野大地選手と同じです。コーラルは先頭を走るより、目の前にライバルがいた方が燃えるタイプ。ラストの徒競走レベルの競り合いは、コーラル同士の闘志のぶつかり合いだったのです!観戦している側もひじょうに盛り上がった名シーンになりましたね!
また、太田選手は
「青学の太田ではなく、太田蒼生としてのブランドを高めたい」
と話しているそう。チームの一員としてより個を生かしたいタイプらしい発言です。
太田選手は2年生、鈴木選手は3年生。次回の箱根駅伝での2人の活躍がもう1度見られると思うと今からワクワクします!!

◆声かけにも工夫が必要

駒澤大の大八木監督はダイレクトに厳しい檄(げき)を飛ばす独立タイプ(オレンジ)ですが「選手によって声かけ法を変えている」そう。今回8区を走った赤星選手には「いつも優しい子なので声かけも優しくしていた」と話されていました。
また「大八木監督の檄(げき)は無い方がいいと思う事があるか」というアンケートで唯一YESと答えたのは、まさかの主将である山野力選手。彼のメンタルタイプは共感タイプの中でも特に優しく繊細なピンク。「監督の大きな声が突然来ると「ビクッ!」としてしまう」と話していました。
主将という役割を考えると大八木監督も厳しく言わざる得なかったのでしょうが、大声を聞くとかえって動きが委縮したり動揺してしまうタイプの選手には、少しボリュームを抑えつつ「〇〇していけば大丈夫だぞ」という安心できる声かけの方が彼らの背中を押せるのです。

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今回は例年以上に見応えのある箱根駅伝でした!!
来年は駒澤大は監督が交代します。藤田新監督がどんなチームを作り上げるのか、そして私の母校である青学大が今回の悔しさを晴らすべく1年間どんな戦略のもと力をつけて本番に向かうのか、今から楽しみです!!

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