4月の全日本選手権で予選(あん馬)のミスが響き3位になり、連覇が途絶えた内村航平選手。全日本選手権の成績を持ち点として開始となる今回のNHK杯で、トップとの差0.8点を抜きつ抜かれつで徐々に詰め、最終種目の鉄棒で逆転し、10連覇を飾りました。
4月全日本選手権での内村選手の様子は下記ブログを参照ください
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http://makokouno.main.jp/wp/3014/ | 11連覇を逃した内村航平選手が悔しがらない理由
以前も書いた通り、ケガ明けでノーミスの演技が出来なかった内村選手は、3位になった悔しさを自分でも驚くほど感じていませんでした。
そして、今回のNHK杯優勝後の会見では
「多分、全日本で負けたからこれがあると思うんです。全日本で勝ってたらなかったかもしれない。一度負けて、一から自分を見直せたのが今日の演技につながった」
「また勝ちたいと純粋に思えるようになった」
と話しています。
◆ケガや負けがモチベーションになる独立タイプ
内村選手をはじめ、個人競技の選手に多い『独立タイプ』(統計心理分析によるタイプ分類)のモチベーションポイントは
・目の前にライバルがいること
・試合で負けを経験すること
・ケガなどのマイナス要因が発生すること
などがあります。独立タイプの代表的選手、フィギュアスケートの羽生結弦選手は
「トラブルだっていいきっかけになるんです」
と発言しているように、『様々なマイナス要因も自分が成長するために必要な課題だ』と捉える傾向が強い志向タイプなのです。
◆連覇ストップによるプラスの変化
また一方で、体操王者の内村選手も人間です。連覇するべく張りつめた緊張感を長年保ち続けてきたのは、予想以上にきつかったようです。前回の大会で連覇が途切れた後の気持ちをこう語っています。
「負けてやっと解放されました」
「突きつめて突きつめて体操するのが苦しいなと感じ始めていたから」
「今までは「次の種目で決めなきゃ」しか考えていなかったけれど、今回(NHK杯)は気持ちに余裕ができて他のことも考えられた」
「勝ちたいという気持ちや勝った時の嬉しさをあらためて感じられた」
と自分の気持ちの変化を素直に言葉にしていました。
◆熾烈な代表枠争い
NHK杯の結果により、内村航平選手と白井健三選手が今年の世界選手権代表枠を獲得しました。残る代表枠争いの候補選手は多数います。今回優勝争いに加わり演技の美しさで定評のある谷川翔選手と兄の谷川航選手。あん馬の萱和磨選手。平行棒の田中佑典選手、千葉健太選手。鉄棒でI難度の大技を持つ宮地秀亨選手 など。
彼らに向けて、内村選手は
「東京五輪では全種目の代表を獲りに行きますが、若手選手にも頑張ってほしいと小声で言っておきます」
と、より骨太なライバルが出てくる事を期待しているような発言をしていました。ライバルが多く存在した方がモチベーションに更に火がつくのでしょう。
6月に行われる全日本種目別選手権の結果を受けて決定する、世界選手権代表選手の切符を誰が手にするのか?今から目が離せません!