(画像元:高橋大輔が引退会見 「いいことも悪いことも全てが思い出」huffingtonpost)
こんにちは。スポーツで輝いている子ども達が大好きなスポーツキッズコミュニケーターのMAKOです。
先日フィギュアスケートの高橋大輔選手が引退を表明しました。熱烈なファンが多い高橋選手ですが、i-colorで見ると個人競技選手ではあまり多くないオリーブタイプです。「心から信頼できる人に喜んでもらいたい!」という思いがパワーの原動力になっている人達です。
自分自身の成長や第一線の選手になる事が一番の原動力である人達から見ると、全く違った価値観ですね。
今回はこの「人のために頑張れるタイプ」のアスリートの共通点から、同じタイプの子ども達のやる気の伸ばし方と最適な言葉かけについて考えてみました。
高橋選手にやる気を取り戻させた言葉
高橋選手にとって最も信頼できる人は長光歌子コーチでしょう。彼の才能を早くから見い出した長光コーチは、高橋選手が関西大学入学後彼をコーチの自宅に下宿させていました。まさにお母さん替わり。そして長光コーチもi-colorオリーブ。仲間や信頼できる人が常に近くにいる事で安心感を持てるi-colorオリーブのお2人にとって、この環境は最適だったと思われます。
2007年3月の世界選手権で日本人初の銀メダリストに、そして2008年2月の四大陸選手権では世界歴代最高得点で堂々の優勝と順風満帆だった矢先、ジャンプ着地時の負荷により右膝前十字靭帯断裂という大ケガを負ってしまいます。手術後から激しい痛みを伴うリハビリの日々が続きます。あまりの辛さに耐え切れず心が折れてリハビリを中断してしまった時、長光コーチはこんな言葉をかけました。
「スケートをしてもしなくても高橋大輔に変わりはないんだから、辞めたかったら辞めてもいいよ。その時は私が皆に謝ればいい事だしそれが私の仕事だから。何も気にせず辞めてもいいよ。もしまだスケートをやりたいのなら自分のためにやれば?」
世界を代表する選手に対してなかなか言える言葉ではありませんね。高橋選手はここで改めてスケートに対する自分の情熱と、常に自分の気持ちを第一に考えてくれる長光コーチの思いに気づきリハビリを再開します。そして翌年見事に復帰を果たしバンクーバーオリンピックの切符を手に入れたのです。
葛西選手のパワーの原動力
(画像元:ジャンプ男子LH決勝 日の丸を持つ葛西紀明 | 株式会社 共同通信社)
スキージャンプの葛西紀明選手も、高橋選手と同じi-colorオリーブです。葛西選手は難病と闘っている妹さんにどうしてもメダルを獲って渡したいという強い思いでソチオリンピックに臨んでいました。そして団体で銅メダルを獲った時に後輩達の努力が認められた事を心から喜び、彼らを絶賛しながら男泣きしていた姿が印象的でした。個人で銀メダルを獲得した時以上に喜んでいる姿はまさに仲間の喜びが自分の喜びというこのタイプの特徴ですね。
長友選手にサッカー熱を取り戻させた言葉
(画像元:長友佑都が引き出す日本代表の新たな可能性 – サッカーキング)
長友選手も同じくi-colorオリーブ。彼は小6で愛媛FCセレクションを受けるも惜しくも落選。入学した地元中学のサッカー部は練習もまともにしていない状況で、彼も仲間と共に練習をサボる日々を過ごしサッカーに懸ける思いも失いかけていました。そして彼が練習せずゲームセンターで遊んでいた時、サッカー部顧問の井上先生が来ていきなり愛のビンタ。そして一言
「母さんがこれを見てたらどう思う?母さんのために頑張らないかんやろ?」
彼は小学生の時に両親が離婚し、母は女手1つで3人の子供を育て上げたのです。この言葉で長友選手のサッカー熱にまた火が付いたのです。井上先生は情熱を注いだ指導をする中で彼に「走る」指導を徹底的に行ったとの事。今ある長友選手の姿はこの時からスタートしたのです。そして長友選手を奮起させたのは
・苦労して育ててくれた母親にサッカーで活躍する姿を見せたい
・自分を信じて愛情を持って指導してくれた井上先生へサッカーで恩返ししたい
という強い気持ちだったようです。
そして今年のワールドカップで一次リーグ敗退した直後のインタビューで彼は泣き崩れながらこうコメントしました。
「ワールドカップでの勝利を今までお世話になった方々や支えて下さったファンの方々に恩返ししたかった。その願いが果たせず本当に申し訳ないです。」
彼の原動力はまさしく皆の期待に応え皆を笑顔にする事なのです。
このタイプの子どものやる気を伸ばすには
ではこのタイプの子ども達のやる気を伸ばすには何をすれば良いのでしょうか?
まず第一に重要なのはこの子ども達と接する時の表情です。人の気持ちが常に気になってしまうこのタイプは相手の表情にとても敏感です。このタイプは大人でも相手の表情を常に観察し、いつもより元気が無い人を見つけると「大丈夫?調子悪い?何か手伝おうか?」と相手を気遣う言葉かけをしてくれます。
スポーツで指導する時も休憩中に何気ない会話をする時も常に笑顔で接してあげると彼らの緊張は和らぐのです。以前このタイプの生徒に真剣な顔でアドバイスをしたら、急に涙目になってしまい驚いた事があります。真剣な顔も怒っているように感じ取ってしまうようです(^^;)
また、信頼する人には常に自分の事を見ていてほしいと思っていますので、練習中もこまめに目を配り「良くなってきたね!」等の声かけをしながら笑顔を見せてあげて下さい。見守られているという安心できる環境で最も力が発揮できるタイプなのです。そしてうまく出来た時や試合に勝った時は、その場で頭を撫でたり肩を叩いたりスキンシップを取りながら褒めてあげましょう。親御さんなら思い切りハグしてあげてもOKです。スキンシップで気持ちが満たされパワーを充電できるのです。
このタイプの子どもへの言葉かけポイント
このタイプの子ども達が一番求めているのは気持ちの安心感です。自分は必要とされているのか、ちゃんと愛されているのかをいつも確認したいと思っています。ですから大人の私達はこまめに優しい言葉かけをして「自分は必要とされているんだ」と実感させ安心させてあげて下さい。
また、練習中は「これが出来たら楽しくないか?コーチもすっごい嬉しいなぁ」と子どもの頑張りや成長がコーチの喜びでもあるんだという事を言葉で伝えてあげて下さい。「頑張ればこんなに喜んでもらえるんだ!」とわかると「また喜んでもらいたい!」とモチベーションが上がり頑張りスイッチが入ります。
そして緊張しがちな試合前は「コーチはずっと見守ってるよ。何があってもコーチはお前の味方だから大丈夫!」と気持ちを安心させる言葉かけをしてあげて下さい。
最もしてはいけない言葉かけは「だからお前はダメなんだ」「そんな事じゃ次の試合は出せないな」というように本人自身を否定したり精神的に追い込むような言葉かけです。もちろんこんな言葉かけを好む子どもはいませんが、負けず嫌いなタイプの子どもの場合に限り、この時の悔しい気持ちがバネになり「次は絶対あんな事言わせないぞ!」と奮起して頑張ってくれます。しかし今回注目している「人のために頑張るタイプ」の子どもには決して使わないでほしいNGワードです。
こんな心優しい愛されキャラタイプの子ども達に対し、私達大人はいつでも彼らの味方である事を言葉で伝えながら愛情を持って接していきたいですね♪
“子どものやる気を伸ばすには?その2 人のために頑張れるタイプの場合” への 1 件のフィードバック