負けず嫌いな性格は育つのか

人には様々な性格や気性、価値観があります。その中でも『負けず嫌い』という性質は、生まれつき持っているかどうかで決まるものなのでしょうか?

 

◆負けず嫌いな男の子

私が今まで出会った生徒の中で最も負けず嫌いだった子は、じゃんけんで負けるたびに悔しくて号泣してしまう男の子です。じゃんけんに勝ったら何かもらえる訳でもなく、単純に順番を決めるだけのじゃんけんです。それでも毎回大粒の涙を流してしばらく号泣していました。何年かたって彼が少し成長した頃に「なんでじゃんけんに負けると涙が出ちゃうんだろうね?」と聞いてみました。すると彼は

「自分でもなぜだかわかんない」

と恥ずかしそうに答えていました。彼のようなタイプは、とにかく自分が負ける姿が大嫌いで、その現実を受け入れたくない!という気持ちを強く持っているタイプなのでしょう。

では反対に、元々勝ち負けにこだわりがなく、負けても悔しい感情が沸き起こらない子の競争意識は、一生変わらないのでしょうか。

実はそうとも限らないようです。

 

◆競争を経験して変わってきた次女

我が家の次女の負けず嫌い度は元々かなり低いほうでした。勝負事に必死になっている同級生を見ると

「なんであんなに必死になって勝ちたいんだろうね?」

と不思議がっていたくらいです。
彼女は統計心理学タイプでは『スキルアップ志向』という面を持っているため、自分でやると決めた時だけはとことん努力して頑張っていました。ただ、その頑張り方はあえて厳しいやり方を選ぶ傾向があり、マイペースな私から見ると「なにもそこまで自分を追い込まなくても・・」と思ってしまうほどのストイックさで、結局辛い思いをする場面も多々ありましたが、それも彼女の個性と捉えて見守っていました。そんな中でも「絶対に負けたくない」という思いはさほど感じられませんでした。

そして小6の時に中学受験をして、彼女は合格した中から希望する中学を2校に絞り、どちらに進学するかは彼女の意思で決定する事にしました。今ふり返れば、この『学校選び』が、彼女の負けず嫌い度を成長させる一番のきっかけになったのです。

学校選びの経緯は以前にもブログに書きましたが(詳細はこちらのブログ参照 ↓
「合格しても行かなくてもいい?」と言ったわが子の真意  http://makokouno.main.jp/wp/1772/ )、彼女は2校から進学する学校を選ぶ際、偏差値が高い方の学校(彼女にとってのチャレンジ校)を選ばず、自分の実力に近い(偏差値の低い)方の学校を選択しました。
その理由は、もしチャレンジ校に行ったら
→ 自分より優秀な同級生が多数いるため、いくら努力して勉強しても平均くらいの成績しか取れない気がする
→ それは自分のプライドが許さない
→ 不満足な成績が続くと勉強が嫌いになる
→ 勉強をやらなくなる

という自分の感情&行動変化を予測したからでした。これには私も同感しましたが、ママ友や友人からは「せっかく合格したのにチャレンジ校に入学しないなんてもったいない!」と随分言われたものでした。

そして現在通っている学校を選択した結果、彼女は努力した見返り(=上位の成績)を手に入れることで勉強が楽しくなり、勉強に対するモチベーションが中学受験時の何倍も上がったのです。更に、友達から「いつも成績上位ですごいね!」と言ってもらえる事や、「勉強教えて!」と友達に頼られる事が、彼女の『常にカッコよくありたい』『友達の力になりたい』という欲求を満たしてくれているようです。

次女のように繊細なタイプの子は、マイナスな状況に置いて頑張らせるよりも、精神的に安心できる環境で頑張らせた方が伸びるように感じます。ちなみに全くタイプの違う、比較的打たれ強い長女であれば、学校選びの際、長女も私もチャレンジ校を選んだと思います。彼女なら
「チャレンジ校に合格できたのはラッキー!ここから努力して這い上がって成績を伸ばしてやる!」
と考え、ガムシャラに頑張っていたことでしょう。

 

◆負けた時の感情変化

順調だった次女も、時にはポカをします。先日、授業の振り返りテストを(コロナ自粛期間中のため)オンラインで行った時のこと。今まで振り返りテストの満点記録を更新し続けていたにもかかわらず、PCで番号の入力ミスをしてしまい満点を取れなかったのです。それまで満点記録を更新していたのは次女含めて2名のみ。つまりこのテストで成績トップは友達1人になったわけです。

そのテスト直後、彼女はなんと号泣して悔しがっていました。そう、あのじゃんけんで負けただけで泣いてしまう負けず嫌い度No.1の男の子のように・・・。

小学生の頃まで真剣に競い合う子の気持ちが全く理解できなかった次女が、いつの間にこんな負けず嫌いな性格になっていたのかと正直驚きました。中学入学以降、努力して1位を獲った時の爽快感や、友達から称賛してもらえた時の高揚感などを経験して、また勝ちたいという思いが自然と育っていったようです。

運動部の部活になんとなく入部した子なども、日々の試合を積み重ねていくうちに、競争意識や負けたくない感情を育てていくのでしょう。チームスポーツであれば、それに加えて仲間の大切さや気持ちをひとつにまとめる難しさ、まとまった時の圧倒的なパワー等も体感して、チームでの勝利を更に追い求めていくのでしょう。

何事も経験は力なり。皆さんのお子さんもまだ目覚めていない才能や素質は多々あるはずです。
学生時代にできるだけ多くの新たな経験を積ませて、子どものまだ見ぬ能力や感情を育ててあげたいですね。

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