【北京五輪まとめ】競技とメンタルタイプの相性は?

2月に行われた北京五輪で、日本は冬季五輪過去最多の18個のメダルを獲得しました。
コロナ禍で様々な制約がある中この結果が出せたのは、まさに日本選手達の努力の賜物だと感じます。今回は北京五輪全体の総括として、メンタルタイプの傾向が明確に表れていた2つの競技についてまとめてみました。

 

◆フィギュアスケートに適したメンタルタイプ

フィギュアスケートでは、男女共に日本選手がメダルを獲得するという最高の結果となりました。そしてメダリストのメンタルタイプ(素質カラー)を見てみると

<男子>
☆金メダル:ネイサン・チェン選手 → グリーン(独立リスクタイプ)
☆銀メダル:鍵山優馬選手 → コーラル(独立希望タイプ)
☆銅メダル:宇野昌磨選手 → ゴールド(独立希望タイプ)

<女子>
☆金メダル:A.シェルバコワ選手 → グリーン(独立リスクタイプ)
☆銀メダル:A.トゥルソワ選手 → オレンジ(独立リスクタイプ)
☆銅メダル:坂本花織選手 → コーラル(独立希望タイプ)

と、メダリスト6人全員が『独立タイプ』でした!この独立タイプの多さは体操男子日本代表と同レベルです。体操男子で過去にメダルを獲得した選手も8割が独立タイプでした。(詳細は右記ブログ参照 http://makokouno.main.jp/wp/1228/:【リオ五輪】体操男子は独立タイプ集団)

体操とフィギュアスケートの共通点を考えてみると

☆自分の得意な技を多数盛り込める
☆自分の個性を生かした表現ができる

☆1人で黙々と練習できる
☆演技中は自分1人に注目が集まる
☆ライバルと同時に競わないため、演技中は周りの影響を受けにくい
☆室内競技のため、天候や風など急な環境変化が少ない

などがあります。これらの特徴は『独立タイプ』が自分らしさを生かしやすいものばかりです。
マイペースに黙々と努力を続けて自分の演技に磨きをかけ、それを本番で見せるのが得意な独立タイプには、ひじょうに適している競技と言えるのでしょう。
ちなみに、今回4位だった羽生結弦選手も、過去の五輪で活躍した浅田真央選手・キムヨナ選手も同じく独立タイプです。

 

◆スノーボードに適したメンタルタイプ

次に傾向性が出ていたのは『スノーボード』です。今回の北京五輪のスノーボード会場は気温がマイナス10度以下になる事もあり、選手達は寒さ対策に苦労していたようです。
また、試合によっては悪天候な日もあり、強風や吹雪に耐えながら滑らなければいけない試合も見受けられました。そんな中、メンタルタイプで傾向が見られたのは『スノーボード女子』で見事な結果を残した下記3選手です。3人のメンタルタイプを見てみると

☆スノーボードビッグエア 銅メダル獲得の村瀬心椛選手ターコイズ(直感希望タイプ)
☆スノーボードビッグエア4位 / スロープ5位の岩渕麗楽選手レッド(直感希望タイプ)
☆スノーボードハーフパイプ 銅メダル獲得の冨田せな選手ターコイズ(直感希望タイプ)

3人とも『直感希望タイプだったのです。このタイプの特徴は

☆独立タイプのように毎日努力を継続するのは苦手
☆練習では本気スイッチが入りにくいが、いざ本番になると練習以上の集中力とパワーが出る
☆世界中から注目されている時に最も力が発揮される
☆その場の状況に応じて臨機応変な対応を取るのが得意
☆ポジティブ思考なのでアウェイな状況下でも「なんとかなるさ」と本気で思える

等の特徴があります。

これらを特に感じたのが、岩渕麗楽選手がビッグエア3回目に見せた演技でした。
ラストの1回で岩渕選手は、過去誰も成功していない『縦3回転』に挑戦したのです!そして着地もほぼ成功したのですが、残念ながら着地後にお尻をついてしまい点数は伸びずメダルには惜しくも届きませんでした。この演技直後、彼女の果敢なチャレンジを讃えるべく、各国の選手が彼女の元に駆け寄り、岩渕選手は大勢の選手に抱きつかれ押し倒されていました。

(岩渕選手を讃える各国の選手達)

その後、岩渕選手がインタビューを受けている最中にも後ろから声をかけて来る選手が何人もいて、彼女のチャレンジ精神に感動している様子が見受けられました。
岩渕選手が五輪最後の演技で最高難度の技に挑めたのは

「失敗しても世界中の人を感動させる演技がしたい!」
「もしかしたら成功するかも?」
「成功したら最高に盛り上がるだろうな♪」

という、直感希望タイプならではのポジティブ思考だからこそ成し得た業なのです!そして、各国の選手達の反応を見てわかる通り、彼女の演技はメダリスト以上に世界中の人を驚愕させ、記憶に残る演技になったのです。

試合時の天候や雪質、風の状況に適応しながら滑り、雪上から飛び上がったその瞬間の感覚で技を決めなければいけないスノーボードの場合、勘が鋭く臨機応変な対応が得意な直感タイプ、その中でもリスクを恐れずにチャレンジできる希望タイプがメンタル面では最も向いていると言えるのでしょう。

私の大好きな選手の一人、競輪とモーグルの二刀流にチャレンジしてきた原大智選手も同じく直感希望タイプです。今回のモーグルの試合でも、彼は常に笑顔でスタートしていました。惜しくも決勝進出を逃したのですがインタビューでは
「オリンピックはお祭り、楽しまないと損なのですごく楽しくやれたと思います!」
という清々しいコメントを残してくれました。

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毎日練習を繰り返し磨き上げてきた精度の高い演技を披露した独立タイプのフィギュアスケート選手達。一方で、試合当日の天候・雪質・会場のムードなどを直感的に感じ取り適応しながら力を爆発させた直感希望タイプの女子スノーボード選手達同じ冬季スポ―ツでも、競技によって生かせるメンタル特性が大きく違うことが明確になった北京五輪でした。

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